家を建てるときや外壁の塗装を検討しているときに、「コーキング」や「シーリング」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。コーキングとは何なのか、また役割や塗装を行うタイミングについてご紹介します。外壁の塗装やコーキングの補修を検討している場合はぜひ参考にしてみてください。
◼ コーキングとは
お風呂のドアと床の隙間や浴槽と壁の隙間などで、ゴムのような素材を見かけたことはありませんか?コーキングとはそのように隙間を埋めて使う素材のことをいいます。同じような言葉である「シーリング」との違いやコーキングの種類についてもご紹介します。
・コーキングとシーリングの違い
コーキングとシーリングの両方を聞いたことがある人もいれば、片方しか知らなかったという人もいることでしょう。どのような違いがあるのか気になっている人も多いかもしれませんが、明確に意味の違いがあるわけではありません。
もともとコーキングは展色材と鉱物質充填剤を混ぜたペースト状のシーリング材のこと、シーリングは目地や隙間部分に充填して防水性や気密性を高める材料のことをと定義されていました。油性コーキング材以外はシーリングに属することになりますが、最近は油性コーキング剤が使用されることはほとんどありません。そのためコーキングとシーリングは同じ意味と思って問題ありません。
・コーキングの種類
コーキングには成分によって、変成シリコン系、ポリウレタン系、シリコン系の3種類に分けられます。変成シリコン系は耐候性に優れているため、雨風に当たる外壁や屋根などに使用できます。他にも、窓のサッシや配管まわりなど幅広く使用できるなど汎用性の高さも特徴です。耐用年数は10~15年となっています。
ポリウレタン系はサイディングボードやコンクリート、ALCの目地に使用されることが多い素材です。変成シリコン系よりも費用が安いですが、紫外線に弱いため塗装による保護を行う必要があります。シリコン系はキッチンやお風呂といった水回りで使用されることが多く、塗装による保護ができないため外壁などには適していません。
また一般向けかプロ向けかによって1成分系と2成分系にも分けられます。1成分系は一本ずつカートリッジに入っているため、一般の人でも気軽に使うことができます。2成分系はコーキングと硬化剤が別になっており施工に技術が必要なプロ向けのものです。
◼ コーキングの役割
隙間を埋めるゴム状の素材のことをコーキングといいますが、どのような役割があるのでしょうか。家におけるコーキングの役割を知っておきましょう。
・衝撃吸収
コーキングはゴムのように弾力性のある素材でできているため、衝撃を吸収する力があります。お風呂のドアや窓のサッシでは、ドアや窓の開閉をするときの衝撃を吸収します。外壁においては、サイディングボードやALCなどのパネルの隙間に埋めて使用します。
気温の変化でパネルが伸縮したり、地震の揺れでパネルに負担がかかったりすると、ひび割れや破損につながります。パネル同士を直接固定すると歪んでしまったり耐久性が落ちたりしてしまうため、コーキングが緩衝材の役割を果たします。
・防水性
コーキングを外壁に使用する場合、防水性を高める役割も持ち合わせています。サイディングボードやALCといったパネルと張り合わせるタイプの外壁では、ぴったりくっつけていたとしても必ず隙間はできてしまいます。わざと隙間を空けて目地を作り、コーキングによって密着させることで水や汚れの侵入を防ぎます。
目地から水や汚れが家の内部に入ってしまうと、雨漏りや腐蝕につながってしまいます。外壁だけではなく家としての寿命を延ばすためにも、防水性を維持することは大切です。
◼ コーキングの劣化症状
コーキングは外壁において大きな役割を担っていますが、劣化しやすい箇所でもあります。そのため定期的な点検や補修を行う必要があります。そのタイミングを見極めるための劣化の症状をご紹介します。
・寿命
コーキングの寿命は5~10年といわれています。弾力性のあるコーキングは、紫外線などの気候条件によって劣化が進むのが早い特徴があります。寿命が来てもメンテナンスせずにそのまま放置していると、雨漏りなどの深刻な状況に陥ってしまうこともあります。家を建ててから5~10年が経ったら、一度点検してもらうと安心です。
・剥離
外壁パネルのつなぎ目を埋めるのがコーキングですが、パネルとコーキングの間が空いてしまうことを剥離といいます。コーキングを施す際には、一般的にプライマーという接着剤を塗布します。プライマーがしっかりと塗布されていない場合、コーキングが接着されずに剥がれてしまうこともあります。またコーキングの量が足りなかった場合にも剥離は起こる可能性があります。
つなぎ目を埋めるためのコーキングが剥離してしまうと、効果を発揮できなくなり家の劣化につながります。打ち替えを行う際にはプライマーの塗布を丁寧に行ってもらうよう伝えてみるのも良いかもしれません。
・ひび割れ
パネルとコーキングのつなぎ目に隙間ができてしまう剥離に対して、ひび割れはコーキングの真ん中で起こります。コーキングには可塑剤という素材が含まれており、紫外線によって弾力性を失ってしまいます。可塑剤が表面に浮き出ることでコーティングが固くなり、ひび割れにつながるという仕組みです。
ひび割れを放置しているとさらにコーキングが固くなり、破断してしまうこともあります。表面がベタついて汚れが付きやすくなってしまう可能性もあるため、定期的に点検やメンテナンスを行うようにしましょう。
・肉ヤセ
コーティングに含まれる可塑剤が表面に浮き出ることで厚みがなくなり、肉ヤセにもつながります。家を建てるときに十分な量のコーキングや下地であるプライマーが使われないことが原因です。肉ヤセを放置しているとコーキングの厚みが減っていき、ひび割れや破断につながります。
ひび割れが広がると、コーキングが破断して穴が空いてしまうこともあります。穴があくと水が入りやすくなり、雨漏れの原因になります。破断を見つけた場合は、早めのメンテナンスをおすすめします。またコーキング材の中でも耐久性の高いものを選ぶのも対策の一つです。
・チョーキング
外壁を触ったときに白い粉が手に付くことをチョーキング現象といいます。コーキングに含まれているゴムのような成分にもチョーキング現象は起こり、コーキングの場合は硬化したり密着しなくなったりする症状が出ます。が紫外線を浴び続けると成分の一つである顔料が表面に浮き出てしまい、これによってチョーキング現象が起こります。
◼ コーキングの補修について
コーキングに劣化症状が見られた場合、補修を行う必要があります。業者に依頼した方が良いのか、自分でもできるのか悩んでいる人もいるかもしれません。コーキングの補修についての知識をご紹介します。
コーキングの補修には、打ち替えと増し打ちの二種類があります。打ち替えは劣化してしまったコーキングを取り除いて、新しいコーキング材を充填する方法です。増し打ちはコーキングを残した状態で上から新しいコーキング材を充填する方法です。増し打ちは古いコーキングを取り除く手間がかからないため工期や費用を抑えることができますが、劣化の症状が軽い場合にしか採用できません。また古いコーキングと新しいコーキングの相性も重要で、相性が悪いものを打ってしまうと剥がれやすい場合もあるため注意が必要です。
コーキングはホームセンターなどでも購入できるため自分でも簡単にできそうに見えるかもしれませんが、外壁材との相性や打ち方が悪いとまたすぐに劣化してしまいます。自分で補修を行う方が安く済ませられるとはいえ、頻繁に行っているようでは結局費用がかさんでしまいます。一時的な対応で良いのであれば問題ありませんが、長く住むつもりなのであればはじめから業者に依頼した方が安くて安心できるかもしれません。
◼ まとめ
家を建てる際や塗装を検討している際に、コーキングやシーリングという言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。どちらの呼び方にも明確な違いがあるわけではなく、現在ではほとんど同じ意味で使われています。コーキングには変成シリコン系とポリウレタン系、シリコン系の3種類があり、一般の人でも使える1成分系とプロが使用する2成分系に分かれます。
コーキングには衝撃吸収と防水性を高める役割があります。玄関や窓で使用される場合はドアや窓がサッシとぶつかり合う衝撃を防ぐため。外壁では地震の揺れなどでパネル同士がぶつかり合って破損するのを防ぐためです。パネルとパネルの間のつなぎ目に隙間があると水が入り込んでしまうため、コーキングで埋めることで防水性を高めています。
コーキングには寿命の他にも、剥離やひび割れ、肉ヤセ、チョーキングといった劣化の症状が現れます。施工の段階でプライマーやコーキングの量が足りなかった場合に起こることもありますが、施工不良であっても劣化の症状であっても早めに補修することをおすすめします。
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