外壁塗装を検討していると、「シーラー」という言葉を耳にすることもありますよね。外壁塗装における下塗り剤の種類の一つですが、下塗り剤にはその他にもいくつかの種類があります。
外壁塗装においてシーラーには大切な役割がありますので、塗装を行う前にぜひ知識を身につけてみてください。
◼ 外壁塗装における下塗り剤の種類
外壁塗装は外壁に塗料を塗るという工程だけで終わるわけではありません。足場や飛散防止ネットの設置という下準備、高圧洗浄と下地処理を行なった上で、塗料を塗る前に下塗り剤を塗布します。
下塗りの工程で使われる塗料にはいくつかの種類があるので、ご紹介していきます。
・シーラー
シーラーは、「接着する」「ふさぐ」「密封する」といった意味を表す「シール」が語源になっており、ひび割れなどが起こっていない外壁において下地強化剤として使われます。
シーラーの色は透明や白などがありますが、色よりも接着力や浸透を防ぐ力などの機能を重視して選ばれることが多い傾向にあります。塗料を塗る前にシーラーを使うことで、中塗りや上塗りに使用する塗料が塗りやすくなります。
サイディングボードなどの目地に充填するコーキングのことを「シーリング」や「シーラー」と呼ぶこともありますが、下塗り剤であるシーラーとは別物となります。
・プライマー
シーラーと似た意味の言葉で「プライマー」がありますが、使用に適した素材が異なります。プライマーは鉄やステンレス、アルミといった鉄素材に塗ることで上塗り塗料が密着しやすくなる効果があります。
サビを除去する効果はないため、塗装する前にサンドペーパーや研磨布などであらかじめサビを落としておく必要があります。
・フィラー
フィラーはヘアークラックなどの小さいひび割れや凹凸がある面に塗ることで塗装面を平らにすることができます。特にひび割れが起こりやすいモルタルなどの外壁では、補強効果のあるフィラーが選ばれることが多いです。
ヘアークラックよりも深いひび割れがある場合、補修工事を行なったり微弾性フィラーというものを使う必要があります。
・バインダー
バインダーはシーラーと似た下塗り剤ですが、バインダーは吸い込みが起きにくい下地に対してよく使われます。バインダーを塗ることで上塗り塗料を定着させやすくなる効果があります。
・サーフェイサー
下塗り剤としてサーフェイサーという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、サーフェイサーは厳密には下塗り塗料を微調整する効果のある中塗り剤。
下塗り剤だけでは塗装面の凹凸をカバーしきれなかったという場合でもサーフェイサーを使うと平らな塗装面にすることができます。
◼ シーラーの種類
下塗り剤にはさまざまな種類があることが分かりましたが、シーラーもいくつかの種類に分けることができます。
・水性タイプ
水性タイプは、シーラーが下地に浸透したあとに内部の水分が蒸発することで塗膜を形成します。下地の劣化が進んでいる場合は吸収しやすくなっているため、補強効果が薄れてしまうことも。
そのため水性タイプのシーラーは劣化がそこまでひどくない下地で使用することができます。また水性タイプのシーラーを下塗り剤に使った場合、上塗り塗料も水性塗料を使うのが一般的です。
・油性タイプ
油性タイプは溶剤シーラーとも呼ばれており、シーラーに含まれた溶剤は塗布したあとで揮発して塗膜を形成します。油性ならではのにおいがするのがデメリットですが、浸透性が高いため補強効果に優れています。
水性タイプよりも劣化が進んでいる下地にも使用できることや、乾燥時間が短いといったメリットも。
・機能性が付加されたシーラー
シーラーは大きく分けて水性と油性に分けられることが分かりましたが、シーラーの中には機能性が付加された種類もあります。
カチオンシーラー
外壁だけではなく内壁にも使用できるカチオンシーラー。浸透性や密着性、コストパフォーマンスに優れており、適用範囲が広いなどメリットがたくさんあります。
しかし下塗り剤にカチオンシーラーを使うと、上塗り塗料に強溶剤型塗料を使うことができないことに注意が必要です。
コンクリート強化シーラー
コンクリート強化シーラーは、文字通りコンクリートやモルタルを強化するために使われるもの。コンクリートやモルタルの表面を固めて塗料の吸い込みを抑え、補強する効果があります。
耐久性の高さや、粉塵やほこりの発生を防ぐといったメリットも。
ヤニ止めシーラー
タバコのヤニや雨じみを抑えることができるシーラー。内壁や天井の塗り替えに使用することが多く、浸透性や固着性に優れています。メーカーによって透明のものと白いものに分かれています。
◼ シーラーの役割
下塗り剤の種類、シーラーの種類はさまざまだということが分かりましたが、そもそもシーラーにはどのような役割があるのでしょうか。
・塗料の密着度を高める
外壁塗装の工程を見てみると、思いのほか工程が多いと思われるかもしれません。下塗り剤は仕上がりを見てすぐに違いが分かるわけではないため、本当に必要なのか?と思われることもよくあります。
しかし塗装する面と塗料がうまく密着しないと、塗膜が剥がれるなどの劣化が起こりやすくなってしまいます。そのようなことを防ぐために、シーラーを塗って次に使用する中塗り剤や上塗り剤の密着度を高めるのが大きな役割の一つ。
・塗料を吸い込みにくくする
シーラーは粘り気のないサラサラとしたテクスチャーであることが多いのですが、塗装面に最初にサラサラとしたシーラーを塗ると下地が吸収してくれます。そうすることで次に塗る中塗り剤や上塗り剤の吸い込みを防ぐというもの。
塗装面の劣化が進みすぎていると吸収しすぎてしまうため、シーラーの使い方に注意が必要です。
・下地の補強
シーラーはサラサラとしたテクスチャーを生かして下地に浸透するとご紹介しました。その性質から、劣化した下地を補強する役割も果たしています。
塗装面である外壁材や屋根材はどうしても経年劣化や環境による劣化が起こってしまいます。仕上げの色や質感、機能性に目がいきがちですが、耐久性を維持するためには下塗り剤であるシーラーがとても大切です。
◼ 下塗り前の工程も大切
シーラーなどを塗布する下塗りは、耐久性の維持や塗料性能の向上のために行われる大切な工程ですが、下塗り作業前にも大切な工程がたくさんあります。
まずは職人の安全を守るための足場、周りに塗料が飛び散らないための飛散防止ネット、これらは工事の最初に行う工程ですが、安全性だけではなく職人が集中して丁寧に塗装を進める意味でも重要な工程です。
次に外壁の高圧洗浄。塗装が必要な時期だということは、長い年月の汚れが蓄積しているはずですよね。汚れやカビが付着したまま塗装をしても塗料が密着せず、耐久性が落ちてしまいます。
そのため丁寧に高圧洗浄を行い、しっかりと乾燥させる工程も大切だといえます。
次に下地処理。経年劣化や環境による劣化でひび割れていたりサビが発生していたりすることも。これらをそのままの状態で塗装しても、塗料が浮いてしまったり剥がれてしまったりと施工不良に陥ってしまいます。
それだけではなく雨水が外壁の内部に入ってしまうことも考えられるため、防水性や防カビ性を高める意味でも下地処理はとても大切です。
◼ まとめ
下塗り剤にはさまざまな種類がありますが、今回はシーラーについてご紹介してきました。仕上がりの見た目に直結するわけではありませんが、耐久性を考えると非常に大切な工程であるシーラー。
下塗り前の工程、下塗り、中塗り、上塗り、全ての工程を丁寧に行なってくれる業者を選ぶようにしましょう。
塗装屋ぬりべえでは外壁塗装と屋根塗装を専門にしています。全工程を丁寧に進めて参りますので、千葉県と茨城県で外壁や屋根の塗装を検討している方はぜひお気軽にご相談ください。