外壁塗装の際、屋根や壁の影で「ついで」に扱われがちな「雨樋(あまどい)」。
しかし、実は冬場に最も故障が起きやすく、かつ深刻な損害をもたらす部位であることをご存知でしょうか。
落ち葉の詰まりや雪の重みが原因で雨樋が破損すると、外壁材の腐食や雨漏りを引き起こす「負の連鎖」が始まります。
今回は、冬を乗り切るための雨樋点検術と、外壁塗装時に絶対に済ませておきたいメンテナンスポイントを深掘りします。
この記事はこんな方におすすめ!
・雨が降ると雨樋から水が溢れているのを見つけた方
・雪国に住んでおり、冬の落雪や重みで雨樋が歪まないか心配な方
目次
1 氷の重みは数百キロ!冬の雨樋を襲う「凍結と歪み」のリスク
秋に溜まった落ち葉や泥が雨樋に詰まったまま冬を迎えると、そこに溜まった水分が凍結し、逃げ場のない巨大な氷の塊が雨樋の中に形成されます。
水が氷になるときに生じる膨張圧は、強固な塩化ビニルや金属製の樋さえも内側から押し広げ、割れやひびを引き起こします。さらに恐ろしいのがその「重量」です。長さ数メートルの雨樋の中に氷が詰まると、その重さは数百キロに達することもあり、雨樋を支える金具(吊り具)が重みに耐えきれず、曲がったり抜け落ちたりします。
金具が曲がってしまった雨樋は、本来の「水勾配(水を流すための傾斜)」を失います。
こうなると、春になって雪が溶けても水が適切に流れず、途中で溢れ出してしまいます。溢れた水が直接外壁に当たり続けると、壁材が水分を吸い込み、冬の冷え込みとともに「爆裂現象(凍害)」を誘発します。つまり、雨樋の不調は、外壁そのものの寿命を縮める大きな原因になるのです。雨樋は単なる「水の道」ではなく、建物の外皮を守るための第一防衛ラインなのです。
- 凍結した氷の膨張は、雨樋の継ぎ目を引き裂き、漏水の直接的な原因となる。
- 溢れた水が「つらら」になり、それが落下の衝撃で窓ガラスやカーポートを破壊することもある。
- 一度狂った水勾配は、自然に直ることはなく、専門的な調整や交換が必要になる。
2 塗装とセットで実施!「プロの清掃」と「金具の再調整」
外壁塗装工事は、雨樋を完璧にメンテナンスする最大のチャンスです。
理由は2つあります。1つは、2階以上の高い場所にある雨樋を、足場を使って隅々まで清掃・点検できるからです。自分で行うには危険な高所作業も、プロなら徹底的に泥や落ち葉を取り除き、水の流れをシミュレーションして確認できます。
2つ目は、塗装によって雨樋自体の耐久性を上げられるからです。雨樋の多くはプラスチック製で紫外線に弱いため、塗装で保護膜を作ることで、冬の硬化や割れを防ぐことができます。
また、雪の重みに不安がある場合は、塗装と同時に「支持金具の増設」を依頼しましょう。金具の間隔を通常より狭く(密に)設置することで、氷や雪の重みが分散され、雨樋の歪みを最小限に抑えることができます。
清掃、塗装、そして金具の補強。これら3つのステップを外壁塗装のついでに行うことで、家全体の防水性能を「屋根から下まで」一貫して高めることができるのです。
- 足場があるうちにしかできない「落ち葉除けネット」の設置は、メンテナンス頻度を下げる賢い選択。
- 雨樋の裏側など、普段塗れない箇所も丁寧に塗装することで、素材の劣化を食い止める。
- 「塗装はしたが清掃はしていない」という手抜き業者を避け、内部診断まで含めるよう指示する。
3 落雪事故を防ぐ!「雪止め」と雨樋の相乗効果
雨樋の破損原因として、意外と多いのが屋根からの「一気な落雪」です。太陽光で溶けかかった重い雪が屋根を滑り落ちる際、その勢いで軒先の雨樋をへし折ってしまうことがあります。
これを防ぐために不可欠なのが、屋根に設置する「雪止め」です。外壁塗装の際、もし屋根に雪止めが付いていない、あるいは数が少ない場合は、この機会に追加設置を検討しましょう。
雪止めを設置することで、雪を屋根の上で小分けに溶かすことができ、雨樋への直撃を防ぐことができます。また、最近では「ゆきもちくん」などのネット状の強力な落雪防止装置も普及しています。
これらを導入すれば、雨樋を守るだけでなく、隣家への落雪トラブルや、通行人の安全確保にも繋がります。雨樋のメンテナンスと屋根の雪対策はセットで考えるべき、冬の住まい管理の「最重要事項」です。
- 落雪による雨樋の全交換は数十万円かかることもあるが、雪止めの追加はそれより遥かに安価。
- 金属屋根や太陽光パネル設置住宅は雪が滑りやすいため、特に強力な雪止め対策が必要。
- 雪止めを塗装する際も、錆びをしっかり落としてから高耐久塗料で仕上げてもらう。
4 自分でできる!冬の雨樋「簡易チェック術」
本格的な塗装や修理を頼む前に、まずはご自身で雨樋の健康状態を確認してみましょう。まず、雨の日に「雨樋からバシャバシャと水が漏れている箇所はないか」を確認します。漏れているなら、そこが詰まりや割れのサインです。
次に、晴れた日に下から雨樋を見上げ、「歪んで波打っている箇所がないか」をチェックします。特に金具から外れている、あるいは不自然に垂れ下がっている場合は緊急性が高いです。
さらに、地面に接している「縦樋」の出口付近に、砂利や泥が溜まっていないか確認してください。ここが塞がっていると、どんなに上の樋が綺麗でも水は流れません。
もし可能であれば、柄の長いブラシなどで届く範囲のゴミを取り除く。これだけでも冬の凍結リスクを少し下げることができます。しかし、根本的な解決や高所の作業は、必ずプロの診断を仰ぎましょう。雨樋は「壊れてから直す」より「壊れる前に手を入れる」方が、圧倒的に家全体の健康を保つことに寄与します。
- 雨の音が以前よりうるさく感じたら、どこかで水が跳ね返っている(溢れている)サイン。
- 火災保険の特約などで「雪災」による雨樋破損がカバーされるケースもあるため、加入状況を確認する。
- 冬の強風で揺れやすい雨樋は、金具のネジが緩んでいる可能性があるため、プロによる増し締めを依頼する。
まとめ
雨樋は、屋根に降った雨や雪を安全に地面へ逃がす「家の大動脈」です。ここが詰まったり壊れたりすると、冬の冷たい水は外壁を直撃し、建物の寿命を削る致命的なダメージへと繋がります。
外壁塗装という大きな工事の陰で忘れられがちな場所ですが、足場がある今のうちに完璧にメンテナンスしておくことが、安心して冬を越すための最も賢い選択です。小さな大動脈の詰まりを解消し、あなたの家を冬の試練から守り抜きましょう。