気温が上がり、湿気が増え始める春は、植物だけでなく「藻(も)」や「カビ」も一斉に活動を開始する時期です。
特に日当たりの悪い北側の壁や、風通しの悪い隣家との隙間は、気づかぬうちに緑色の汚れが広がっていることも……。
これらは見た目が悪いだけでなく、外壁の防水機能を破壊する恐ろしい存在です。今回は、春に繁殖する藻やカビから家を守るための、塗装とメンテナンスのコツについて解説します。
この記事はこんな方におすすめ!
・家の北側の壁に緑色や黒色のシミを見つけて、どうにかしたい方
・塗装してもすぐに苔や藻が生えてきてしまう環境にお悩みの方
1 藻やカビは外壁を「食べて」いる!?劣化の真実
外壁についた藻やカビを「ただの汚れ」だと思っていませんか?
実はこれらは立派な「生物」であり、外壁に根を張り、塗膜の成分や付着した汚れを栄養にして繁殖しています。藻やカビが根を張ると、そこには常に水分が留まることになり、塗膜は常にふやけた状態になります。これが続くと、塗料の防水機能が消失し、サイディングやモルタルといった外壁材そのものを腐食させていくのです。
特に春は、冬の間に乾燥しきった外壁に春の雨が降り注ぎ、休眠していた菌が活動を再開する絶好の条件が整います。北側の壁を指で触って、湿り気を感じたり、色が変色している場合は、すでに目に見えない菌糸が壁の奥深くまで入り込んでいる証拠です。放置すれば、外壁の剥がれや、室内へのカビ臭・アレルギーの原因にもなりかねません。
- 藻は光合成をするため、わずかな光がある「日陰」で最も活発に繁殖する。
- カビは湿気と汚れがある場所を好み、一度根を張ると通常の水洗いでは死滅しない。
- これらの微生物は酸性の物質を出し、外壁のアルカリ性を破壊して脆くさせる。
2 「防カビ・防藻機能」を強化した塗料の選び方
北側の壁を守るための最大の武器は、強力な防カビ・防藻性能を持つ塗料です。一般的なシリコン塗料にもある程度の機能は備わっていますが、湿気が多い場所では不十分なことも多いです。
そこで、数百種類の菌に対応した「バイオ系防カビ塗料」や、表面の親水性を高めて汚れを寄せ付けない「低汚染塗料」を選ぶことが重要です。
最近では、薬剤をマイクロカプセル化し、10年以上にわたって防カビ効果をじわじわと放出する高機能な製品も登場しています。
また、艶(つや)のある塗料を選ぶことも有効です。表面が滑らかなほど水分が溜まりにくく、藻の胞子が定着しにくくなるからです。春の塗装リフォームでは、北側の壁の状態を業者に見せ、「ここは特に防藻を強化したい」と伝えることで、面ごとに最適な塗料を使い分けるオーダーメイドの施工が可能になります。
3 塗装前の「バイオ洗浄」が成功の8割を決める
どんなに良い防カビ塗料を塗っても、下地にカビの根が残っていれば、数年で塗膜を突き破って再発します。そこで不可欠なのが、塗装前の「バイオ洗浄」です。これは単なる高圧洗浄ではなく、専用の殺菌剤を散布し、カビや藻の細胞を根本から分解・死滅させる工程です。
春は洗浄後の乾燥が早いため、バイオ洗浄の効果を最大限に引き出すことができます。バイオ洗浄で完全に「無菌状態」にしてから、抗菌・防藻塗料でバリアを張る。この二段構えの対策こそが、日当たりの悪い北側の壁を10年先まで美しく保つプロの鉄則です。見積書に「高圧洗浄」としか書かれていない場合は、バイオ洗浄へのアップグレードを相談してみる価値は十分にあります。
4 「風通し」をデザインする。塗装以外の周辺対策
塗装で壁を強化した後は、環境面からもアプローチしましょう。北側の壁に藻が生えやすいのは、水分が留まるからです。例えば、外壁に密着するように置かれた物置、生い茂った植栽、古くなったエアコンの室外機などは、風通しを悪くし、湿気の温床になります。
春の点検を機に、壁の周りの整理整頓を行うだけでも、塗装の持ちは大きく変わります。また、雨樋(あまどい)の詰まりで水が溢れ、特定の壁面を濡らし続けていないかもチェックポイントです。
塗装業者は「壁のプロ」であると同時に「建物の水の流れを管理するプロ」でもあります。足場を組んでいる間に、周辺の環境改善についてもアドバイスをもらうことで、藻やカビに悩まされない「健康な家」が完成します。
まとめ
北側の壁の緑色の汚れは、家が発している「悲鳴」です。春の繁殖期を放置すれば、夏から秋にかけて被害は深刻化し、外壁そのものの寿命を縮めます。
しかし、正しいバイオ洗浄と、環境に合わせた防藻・防カビ塗装を選べば、日当たりの悪い場所でも美しさを保つことは可能です。この春、一度お住まいの「北側」をじっくり観察してみてください。そこにある汚れをリセットすることが、家全体の資産価値を守る第一歩になります。