「防水モルタルとは、モルタルに添加物を配合することで防水性能を持たせたもののこと。
防水性能を持っているということは、塗装の必要がないのではないかと思われるかもしれませんが、防水モルタルに塗装は必要なのでしょうか?
家の外壁に防水モルタルを使用している人、モルタルを使用していて防水性が気になっているといった人はぜひ参考にしてみてください。
◼ コラムのポイント
1、防水モルタルについての基礎知識を身に付けることができます
2、防水モルタルの施工と塗装について学ぶことができます
3、防水モルタルの劣化について知ることができます
目次
◼ 防水モルタル
防水モルタルとは、添加物によって防水成分が加えられたモルタルのこと。見た目は一般的なモルタルと同じですが、防水成分によって水を通しにくいモルタルとなっています。
その性質を生かして、防水処理やコンクリートの中の防水層に使われることもあります。住宅においては水漏れや雨漏りの修理などに使用したり、ガーデニングの際に池を作ったりするのに使われることも。
モルタルには小さな穴が開いているため、そこから水が通ってしまうことがあります。穴を埋めることで水が通るのを抑えようということで作られたのが防水モルタル。メーカーや商品によってどのような防水材を混ぜるかが異なるため、用途に合わせて成分を確認するようにしましょう。
→モルタルとはどのような外壁?メリットとデメリットもご紹介
◼ 防水モルタルの用途
防水モルタルは防水処理やコンクリートの中の防水層、水漏れや雨漏りの処理に使用することがあるということをご紹介しました。住宅においてはどのような箇所に使用されているのでしょうか。
・バルコニーの防水層
バルコニーは、2階以上の部屋の外に張り出した屋根のないスペースのこと。ルーフバルコニーの場合は1階の屋根を利用して作られたもののことを指します。
バルコニーは屋根がないスペースであることから防水加工されていることが多いですが、年数が経つことで劣化して水漏れや雨漏りが起こってしまうこともあります。
水漏れや雨漏りが起こったバルコニーを修復するために防水モルタルが使われており、表面に防水塗料を塗ることで更に防水性を高めることができます。
→バルコニーの工事事例はこちら
・外壁の補修
外壁材にはさまざまな種類がありますが、モルタルで仕上げた外壁の補修にも防水モルタルが使用されることがあります。
モルタルは高級感があるのが特徴ですが、ひび割れやすいデメリットもあるため定期的なメンテナンスが必要です。水の侵入を防ぐために防水モルタルを施工し、表面には防水塗料を塗ることで補修を行います。
→外壁のひび割れ|放っておくと危険?DIYで補修する方法も解説
・池の防水層
家の庭に池を作る際、防水層に防水モルタルを使うこともあります。水が浸透してしまっては池としての役割を果たさないため、防水モルタルと防水塗料を組み合わせて施工するのが一般的です。
モルタルはアルカリ性なので、池で生き物を飼おうと思っている場合は、アルカリ成分が溶けだして生き物に影響が出ることのないよう対策するようにしましょう。
◼ 防水モルタルの施工と塗装
防水モルタルは防水剤を混ぜることで防水性を高めた素材ですが、防水性能を発揮するためには表面には防水塗料を塗装する必要があります。防水モルタルの施工と塗装に関する工程をご紹介します。
・施工する面をきれいに処理
まずは防水モルタルを塗装する面をきれいに処理し、ブラシを使って汚れを落として凹凸がないように削ります。
バルコニーなどもともとの床が浮いてしまったりしている場合は充填剤を入れて埋めるなどの処理も行うようにしましょう。外壁の場合は表面の汚れなどを落とすために高圧洗浄を行い、完全に乾くまで1~3日ほど待ちます。
更に下地処理を行うことで、モルタルの密着度を高めることができます。
・防水モルタルを施工
施工する面がきれいになったら、防水モルタルを施工します。厚さが均等になるように塗ったら、完全に乾くまで約24時間待ちます。
外壁の場合は塗装を下塗りと中塗り、上塗りの3段階に分けて行うため、塗装だけでも約3~6日ほどの期間が必要になります。
・防水塗料を塗装
防水モルタルが完全に乾いたらトップコートとして防水塗料を塗装します。
防水モルタルだけでは防水性能が足りないため、屋外の場合は特に防水塗料を塗装するようにしましょう。
→防水性の高い塗料で施工した事例
◼ 防水モルタルの塗装について
防水モルタルに塗装を行う場合、適した塗料や塗装の時期、劣化のサインなどが気になりますよね。そこで防水モルタルを塗装する場合に知っておきたい基本的な知識についてご紹介します。
・適した塗料
外壁塗装に使用される塗料にはさまざまな種類がありますが、これまでもご紹介しているように、防水モルタルには防水塗料を塗装する必要があります。
防水塗料は他の塗料よりも耐水性が高く、家を水の侵入から守ってくれる役割を果たしています。外壁に使用される防水塗料のことを弾性塗装ということも。
弾性塗料が防水に適している理由は、乾燥したあとにゴムのように伸び縮みする性質を持つため、ひび割れが起こったとしても水が侵入するのを防ぐことができるためです。
バルコニーなどに使用する防水塗料はトップコートと呼ばれるもので、色を付けることではなく床面の保護をすることが目的の塗料です。床は傾斜がないことから水が溜まりやすいため、雨漏りが起こらないように防水性能を高める必要があります。
→弾性塗料とは?メリット・デメリットと機能を生かした工法
・塗装の時期
モルタルの外壁は約10~15年が塗装時期の目安となっています。しかし次にご紹介する劣化のサインが表れ始めたら、目安となる時期がまだであっても早めに塗装を行うようにしましょう。
劣化の症状が比較的軽いものであっても、放置することで建物自体の劣化につながる可能性があるためです。そのため劣化の症状に気付いたら、早めに業者に点検や修理を依頼することをおすすめします。
◼ モルタルの劣化のサイン
モルタルは劣化が進むと、外壁だけではなく家自体の傷みや腐食につながってしまうこともあります。塗装の時期の目安にするためにも、劣化の症状を頭に入れておきましょう。
・ひび割れ
モルタルの外壁で起こりやすい劣化のサインとして、まずはひび割れがあげられます。ひび割れには幅の広さによって種類が分けられます。
0.005~0.3mm未満のひび割れはヘアークラックといい、モルタルの水分が乾燥したことによって起こるもの。モルタルを施工してから数年が経過した外壁では起こりがちな劣化の症状です。
モルタルには約0.7mmの厚みがあるのが一般的なので、ヘアークラックが起こったからといってすぐに危険な状態というわけではありません。しかし外壁全体に広がっているような場合にはひび割れが進行する可能性があるため注意が必要です。
0.4mm以上のひび割れのことを構造クラックといいます。構造クラックが起こると、表面だけではなくモルタル内部の防水シートまでひび割れが進んでいる可能性があるため、雨水の侵入で外壁の強度が落ちてしまいます。
構造クラックが見られた場合はできるだけ早めに業者に点検や修理の依頼をするようにしましょう。
・浮きや剥がれ
モルタル内部に水が侵入したり外部からの衝撃を受けたりすることで、モルタルが浮いたり剥がれたりしてしまうことがあります。
モルタルの浮きや剥がれは見た目が悪くなるだけではなく、外壁の落下で怪我や事故を招いてしまうことも。
・カビやコケ
また湿度が高い箇所ではカビやコケが生えることもあります。すぐに外壁の耐久性に直結するような症状ではありませんが、美観や衛生面の観点から良いとはいえないため、気になり始めたらメンテナンスを検討すると良いでしょう。
→外壁にコケが生えてしまった…原因と対処法は?予防策もあわせて解説
・塗膜の劣化
モルタル自体の劣化ではなく、表面に塗装している塗料が劣化した場合もさまざま症状が現れます。
塗膜の剥離や膨れ、外壁を手で触るとチョークのような白い粉が付着するチョーキングなど。それぞれ早急なメンテナンスが必要というわけではありませんが、劣化が深刻になる前に対応することをおすすめします。
◼ まとめ
防水性の低いモルタルに防水成分を加えて防水性能を高めたモルタルのことを「防水モルタル」」といいます。防水性を高めたとはいっても、防水モルタルにも塗装が必要だということが分かりました。
劣化の症状や塗装時期を目安としながら、劣化が深刻になる前に塗装を行うようにしましょう。
塗装屋ぬりべえは創業120年のリフォーム会社『ハウジング重兵衛』がプロデュースする塗装専門ブランドです。千葉県と茨城県でリフォーム事業を展開しており、外壁や屋根の塗装を行っています。地域最大級のショールームでは塗装に使用する塗料を選ぶためのカラーサンプルやカラーシミュレーションなどを行うことができます。千葉県と茨城県で外壁や屋根の塗装を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。電話やメールでのお問い合わせもお待ちしております。