屋根の塗装を行ったあとで雨漏りが起こったという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。メンテナンス直後に雨漏りが起こるというのはどういうことなのでしょうか。日本の住宅でも普及率ナンバーワンの屋根材である「スレート屋根」では、塗装の際に「縁切り」という作業や「タスペーサー」という器具を使う必要があります。塗装のあとに雨漏りが起こる原因や予防策について詳しくご紹介します。
◼ 屋根塗装によって雨漏りが起こる?
屋根塗装を行ったあとに雨漏りが起こったという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。定期的なメンテナンスの一つである塗装をしたにもかかわらず雨漏りが起こるとはどういうことなのでしょうか。
・雨漏りが起こる可能性のある屋根の種類
昔ながらの日本の住宅は瓦屋根が多かったですが、最近はスレート屋根の普及率がナンバーワンと言われています。スレート屋根のうち粘板岩を使った素材を天然スレート、セメントや繊維質を混ぜて板状に加工したものを化粧スレートといいます。日本で普及しているのはカラーバリエーションが豊富でありながら費用の安い化粧スレート。化粧スレートの主成分であるセメントは防水性がないため、定期的に塗装のメンテナンスを行う必要があります。
・雨漏りが起こる原因
スレート屋根は下から屋根のてっぺんに向かって重なり合った状態で施工されています。屋根材と屋根材が重なっている部分には、4mm程度の隙間を空けて水の逃げ道を作る必要があります。これは雨水を排出したり屋根材の裏面の通気性を確保したりすることが目的です。スレート屋根は新築後7~10年程度で劣化を防ぐための塗装を行うのが一般的ですが、このとき屋根材が重なり合う部分の隙間を空けておかなければなりません。しかし知識や技術が不足している業者が施工すると、塗料が隙間をふさいでしまうことも。空けておかなければならない隙間まで塗装してしまうと水の逃げ道がなくなってしまいますよね。本来隙間を空けておかなければならない箇所に塗料が埋まってしまうことで、スレート屋根を伝って屋根の内部に雨水が侵入して雨漏りにつながるという仕組みです。
◼ 屋根塗装での雨漏りを予防するには
屋根材が重なり合っている部分の隙間が埋まってしまうことで雨漏りが起こるのであれば、本来隙間があるべき部分の隙間を空けてあげることで予防ができます。手間のかかる作業ではありますが、雨漏りは気付きにくい上に重症化してしまう可能性の高いトラブルなので、長期的な視点で見ると予防しておくことをおすすめします。雨漏りを予防するために隙間を空けるための方法として、「縁切り」と「タスペーサー工法」の2種類があげられます。
・縁切りとは
屋根材が重なっている部分に塗料が入り込んだまま乾燥すると、隙間が埋まってしまいますよね。隙間に入り込んだ塗料の塗膜を切ることで水の逃げ道を確保することを縁切りといいます。縁切りに使う道具はカッターや皮すきといった金物ですが、カッターは塗膜に刃が入りにくく作業効率が悪く、皮すきは力を使って屋根材を持ち上げるため屋根材が破損してしまうこともあります。皮すきを使っても屋根材を持ち上げて塗膜を剥がすだけなので、場合によっては塗膜が元に戻ってしまうことも。縁切りは雨漏りの予防策ではありますが、完全に隙間を空けるのは難しいことも頭に入れておくようにしましょう。
縁切りが不十分だった場合は、また塗装後に縁切りを行っていたとしても、不十分であった場合には雨水を排出できず屋根材の裏面まで雨水が侵入してしまうこともあります。下地材が腐蝕したり雨漏りが起こったりする原因になるため、縁切りはしっかりと行う必要があります。また縁切りを行うタイミングは下塗り・中塗り・上塗りを終えたあとなので、塗装後に屋根の上を歩くことが気になる人もいるかもしれません。
・タスペーサー工法とは
従来の縁切りに変わって、近年よく使用されているのがタスペーサー工法。タスペーサー工法とは、スレート屋根の重なっている部分に差し込むことで隙間を確保する、プラスチック製の三角形の部材のことをいいます。塗装前や下塗りが終わったあとのタイミングで、約15cm間隔で重なっている部分に差し込んでいきます。30坪の屋根で1000個程度使うことになり、費用としては3~5万円。雨漏りが起こってしまうと修理や張り替えには更に高額な費用が必要になることを考えると、数万円で予防できるのであればそう高いものではないかもしれません。
◼ タスペーサーの種類
スレート屋根の塗装後に雨漏りが起こるのを防ぐことができるタスペーサーですが、タスペーサーという部材自体にはどのような特徴があるのでしょうか。
・タスペーサー01
タスペーサーは屋根材が重なり合う部分の隙間を空けることが目的ですが、タスペーサー01はポリアセタールを素材としているのが特徴です。色は黒のみで内部がZ字になっています。従来のタスペーサーよりも通気性やクッション性能がアップした商品です。タスペーサー自体にも水が上がりにくいような形状になっているため、雨水のキレが向上しています。クッション性能としては、作業を行うときのことを想定して60~80kgの重さがかかっても破損しにくいのが強み。溶剤に強い素材を使うことで耐溶剤性もアップしています。
・タスペーサー02
タスペーサー02もポリアセタールが素材として使われており、黒と茶色の2色から選ぶことができます。屋根材と屋根材の隙間が2mm以下のときに使用されるタスペーサーで、屋根の下地に傷みが少ない場合に使われることが多い種類です。内部に細い滑り止めが付いているため、手で簡単に挿入することができます。多くの屋根で使用できる汎用性の高いタスペーサーだといえます。
・タスペーサー03
タスペーサー03は販売中止になってしまいましたが、屋根材と屋根材の隙間が3mm程度のときに使用されていた種類です。屋根の下地に傷みが目立つ場合に使用されることが多く、内部がS字になっているのが特徴。タスペーサー03が手に入らない場合には、タスペーサー02やタスペーサー01でも代用できます。
◼ タスペーサーのメリット
タスペーサーを使用するメリットとして、作業が簡単で確実に隙間を確保できることがあげられます。屋根材と屋根材が重なっている部分にタスペーサーを挿入するだけで良いため、従来の縁切りと比べて高度な技術を必要としません。タスペーサーは塗料がなじみやすいため目立つことはありませんが、挿入したかどうかが一目瞭然なので確実に作業を終えることができます。縁切りは一日がかりの作業でしたが、タスペーサーを使用すると一般的な屋根で約2~3時間で作業が終了します。短時間で作業が終わることは、工期の短縮や人件費の削減にもつながります。
またタスペーサーを使う場合はカッターや皮すきを使って縁切りする必要がないため、塗装後に屋根の上を歩くこともありません。屋根に足跡がついたり屋根材を踏んで割れてしまったりといったトラブルを防ぐことができます。タスペーサーは外部の検証機関で検証を重ねた上で安全性が確認されています。屋根の耐用年数を延ばすためにも屋根の下地への通気性を保てるようにタスペーサーを使用することをおすすめします。
◼ まとめ
スレート屋根を塗装したあとで雨漏りが起こることについて、その原因と予防策をご紹介してきました。スレート屋根は屋根材同士が重なり合っていますが、その隙間が塗料で埋まってしまうことで雨漏りが起こってしまいます。従来はカッターや皮すきを使って縁切りが行われていましたが、最新のタスペーサーを用いることでより確実に短時間で縁切りを行うことができます。
塗装屋ぬりべえは外壁や屋根の塗装・リフォームを行っている会社で、長年の経験と実績をもとに千葉県と茨城県で事業を展開しています。お客様のご要望にお応えすることはもちろん、家にとって最適なリフォーム方法を考えた上で新たな提案もさせていただいております。スレート屋根の塗装を行う際には、より確実に雨漏りを予防できるタスペーサーの使用をご提案した上で、アフターケアも含めた対策を行います。千葉県と茨城県で外壁や屋根の塗装・リフォームをご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。電話やメールでのお問い合わせもお待ちしております。