外壁塗装の検討中、「シーリング」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。外壁材の種類によってはシーリングは必ず使わなければなりませんが、欠かせない存在でありながら悪徳業者によって手抜きが行われやすい箇所の一つでもあります。
外壁塗装を業者に依頼する前に、シーリングについての基礎知識を把握しておきましょう。
◼ 外壁塗装におけるシーリング
サイディングボードやALCパネルのように何枚ものボードやパネルを張り付けて施工するタイプの外壁材の場合、その隙間を埋めるためにシーリングという液体を充填していく必要があります。
・コーキングとの違い
シーリングと似た「コーキング」という言葉がありますが、シーリングとコーキングにはどのような違いがあるのでしょうか。シーリングとコーキングはほとんど同じ意味であり、呼び方の違いに過ぎないと言って問題ありません。
シーリングは目地や隙間などに充填することで、防水性や気密性を維持する目的がありますが、コーキングも同じように隙間を充填することをいいます。また形が決まっているものをシーリング、チューブに入っていてガンを使って施工するタイプをコーキングと呼ぶなどの使い分けがされていることも。
・シーリングが使われる場所
外壁塗装において、サイディングボードやALCパネルなど、ボードやパネルをつなぎ合わせるタイプの外壁材で目地を埋めるためにシーリングが使われます。他にもガラスサッシや窓枠、配管まわりなどで使われることもあります。
家の中では、お風呂の浴槽と壁の隙間、キッチンや洗面台まわりなど、水を使う場所で防水性を高めるために使われることが多いです。
◼ シーリングの役割
シーリングはシリコンやポリウレタンなどの樹脂からできているため、水や空気を通さない性質を持ちます。外壁塗装において、シーリングにはどのような役割があるのでしょうか。
・ボードやパネルの隙間を埋める
はじめからご紹介している通り、外壁塗装におけるシーリングの役割はボードやパネルの隙間を埋めること。ボードやパネルの目地を埋めずにそのままにしておくと、隙間から雨水や汚れが侵入して外壁の寿命が短くなってしまいます。雨漏りや構造体の腐食など、深刻な事態に陥ってしまわないような役割がシーリングにはあります。
・ひび割れ防止
外壁は地震の揺れやトラックが通った際の揺れ、温度変化などで外壁は膨張と収縮を繰り返しています。硬い素材でできている外壁材が敷き詰められていると、揺れや温度変化によって衝突したり引っ張りあったりすることになり、ひび割れが起きてしまうことがあります。樹脂製であるシーリングは弾力があるため、外壁材の間に充填することでクッションがわりになりひび割れを防止することができます。
・外壁材を長持ちさせる
樹脂製で弾力のあるシーリングは、外壁材のボードやパネルの代わりに膨張や収縮の動きに追従してくれます。それによって外壁材が破損することなく長持ちさせることができます。
◼ シーリングの劣化
シーリングには重要な役割があることが分かりましたが、劣化が進みやすい箇所の一つでもあります。
・肉痩せ
シーリングは年数が経つと肉痩せという劣化の症状が出ることがあります。だんだん厚みが薄くなり、表面から見たときに隙間ができてしまう現象のこと。そこまで年数が経っていないにもかかわらず肉痩せのような症状が出る場合、充填された時点でのボリュームが足りていなかった可能性もあります。
・剥離
剥離とは、ボードやパネルとシーリングの間に剥がれたような隙間ができてしまうこと。隙間ができてしまうと雨水が侵入したり、外壁材の割れや反りなどの原因になってしまうこともあります。
・ひび割れ
劣化の症状として、シーリングの表面に細かいひび割れが起こってしまうこともあります。ひび割れの原因は、地震やトラックなどの通行による揺れに建物が追従できなかったことや経年劣化など。
・寿命
シーリングは膨張や収縮を繰り返しているため、寿命が長いものではありません。シーリングの寿命は5〜10年程度であり、外壁材よりも早く劣化が進んでしまうことがほとんど。そのため劣化の症状が起こっていないかを定期的に確認しながら、外壁塗装よりも早いスパンでシーリングの補修を行うようにしましょう。
◼ シーリングの補修
シーリングに劣化の症状が見られたり、寿命を迎えたりした場合、適切に補修を行うことが大切です。補修方法は増し打ちと打ち替えの2種類があるので、それぞれの方法の特徴を把握しておきましょう。
・増し打ち
シーリングの増し打ちとは、既存のシーリングの上から新しいシーリング材を重ねて充填すること。打ち替えよりも手軽で費用も抑えられますが、古いシーリングの状態が悪い場合は増し打ちした新しい部分だけが剥がれてしまう可能性があります。
・打ち替え
打ち替えとは、既存のシーリングを取り除いた上で新しいシーリング材を充填する方法。古いシーリングをカッターなどで丁寧に切り取る作業が必要なので手間がかかり、増し打ちよりも費用がかかってしまいます。しかしその分傷んだ箇所を取り除けるため、補修後にシーリングを長持ちさせたい場合は打ち替えがおすすめです。
打ち替えの手順は以下の通り。
古いシーリングを撤去して
シーラーを塗布し
シーリングを充填
ヘラで均したらシーリングの打ち替えは終了です。
◼ シーリング補修を行った事例
塗装屋ぬりべえが実際に行った塗装事例の中で、シーリングに関する施工事例をご紹介します。実際の事例を見ることでシーリング補修の参考になるかもしれません。
・シーリングが気になっていた外壁の塗装
一度も塗装を行わないまま15年経過したため、シーリングの状態が気になるとのことでした。暗すぎない茶色系の色をご希望でしたが、イメージ通りとの言葉をいただきました。耐久性が長い塗料を選ぶのも良いですが、短いスパンでお手入れをすることが一番なのでウレタンタイプの塗装を行っています。
・劣化したシーリングの補修と上品な茶色の塗装
外壁の膨れとチョーキングが気になるとのことでした。ALCパネルを使用した外壁でしたので、劣化したシーリングも一緒に補修を行いました。1階部分と2階の真ん中部分を茶色に、2階のベランダ部分に暖色系の色を使いツートンカラーになっています。もともとの色よりも濃い茶色を使用しているので温かくもシックな雰囲気に仕上がっています。
・シーリングの目地と塗膜の劣化対策
外壁の汚れやシーリングの目地の劣化が気になるとのことでした。紫外線を受けることによって色褪せや藻の発生によって塗膜が劣化していましたが、濃いブラウンの塗装を行うことでモダンな雰囲気に。1階部分と2階部分でコントラストを付けたツートンカラーにしているので、おしゃれに仕上がっています。
◼ まとめ
外壁塗装を検討している際にシーリングという言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。シーリングはボードやパネルの隙間を埋めるのが目的であり、外壁材の防水性や耐久性を維持するために重要な役割を果たしています。シーリングに劣化の症状が見られたら、基本的には打ち替えでの補修を推奨しています。
ハウジング重兵衛では、外壁や屋根の塗装だけではなく、シーリングの補修など細かいメンテナンスも行なっております。千葉県と茨城県でシーリングの劣化が気になるという方は、ぜひお気軽にご相談ください。