外壁塗装リフォームには、見た目の色あせをリカバーする他に、塗装による保護塗膜で外壁を雨や風、土埃などから守るという大切な目的があります。
塗料には色を出す顔料と、表面に保護塗膜をつくる樹脂が含まれています。外壁リフォームで重要なのは、それぞれの塗料の樹脂成分の種類と特徴を理解した上で選択することです。
今回は、ぬりべえでも使用している外壁塗装用の塗料について、種類ごとに特徴や自分の家の外壁塗装に合った塗料を選ぶポイントについて解説します。
◼ 外壁塗装の基礎知識
初めに、外壁塗装の目的について簡単におさらいします。
・目に見えない「失われた保護塗膜」を復活させて劣化から守る
外壁の塗装というと色替えや色あせを目立たなくするという目的と思いがちですが、それだけではありません。むしろ、目に見えて分かりづらい、塗料が持つ外壁を守る保護膜の機能を復活させることが本当の目的です。
窯業系・金属系サイディングや木質外壁材、タイル、レンガや石材など、外装材の種類はたくさんありますが、ほとんどの材料は、表面に水分や汚れ、キズから素材を守るための塗装(コーティング加工)などが施されています。
新築の施工直後は、コーティングは万全ですが、直射日光、雨や風、衝撃、湿気や乾燥など、さまざまな外的環境の影響を受け続けるため、少しずつコーティングは失われていきます。
サイディングの表面塗装は10年~20年ごとに定期的に行うのが良いとされています。年数が経過して一見、見た目には綺麗なままに見えても、保護膜の機能が失われている可能性があるからです。塗料の耐用年数や地域の気候・風土によっても劣化のスピードに違いがあるので、こまめに家の外周をよく見て、外壁や屋根の状態をチェックするようにしましょう。
表面の塗膜が失われると、その部分からサイディング、そして壁の中の下地に水が浸透しやすくなってしまいます。表面が水に濡れて色が濃くなる(サイディングに水が浸透している)場所があったり、チョーキング現象(塗料の樹脂がなくなり顔料の粉が露出する)が起きたりしている場合は、再塗装が必要なサインです。
◼ 塗料の種類
外壁塗装の塗料は、保護膜を形成する油(樹脂)の主成分によって分類されます。代表的な塗料の種類と特徴を解説します。
・シリコン樹脂系塗料
シリコン系の塗料は、現在最もポピュラーな外壁塗装の塗料です。
耐熱性、耐水性、耐候性に優れ、固い塗膜で直射日光や酸性雨、強風などから外壁の表面をしっかり保護できます。
シリコン塗料はツヤと光沢のある仕上がりになるのが特徴で、汚れがつきにくく長く美観を保つことができます。
また、あえてツヤのない仕上がりにしたい場合も、ツヤ有りの塗料を調整してツヤ消し仕様にする、もともとツヤの出ないシリコン塗料を選ぶなどで対応することができます。
外壁に使用した場合の耐用年数は約10年~15年で、後で説明するラジカル塗料やフッ素塗料よりも耐用年数は短いですが施工費用は安いため、コストと質のバランスが良い塗料です。
・フッ素樹脂系塗料
フッ素系塗料はシリコン塗料よりもさらに耐久性に優れた高性能の塗料です。
耐久性、耐候性に加えて、フッ素は水に濡れやすく密着しやすい「親水性」があるため、空気中のホコリや砂、排気ガスなどが塗膜に付着しても雨で自然に汚れを落としてくれます。
また、日の当たりにくい部分や湿気の溜まりやすい部分には藻やカビが発生しやすくなりますが、フッ素系塗料は藻やカビの発生を防止する性質もあるため、綺麗な状態が長く保てます。さらに、耐摩耗性に優れ、表面の光沢が長持ちするほか、酸性雨にも強いという性質もあります。
さまざまな面で優れた性質を持つため、東京スカイツリーの塗装にも使用されるなど信頼性の高い塗料です。
耐用年数は15年以上で、外的環境の影響をより受けやすい屋根や雨樋に使用する人も多いです。
施工費用はシリコン塗料よりも高めのため、屋根はフッ素、外壁はシリコンというように使い分けて塗り替えのタイミングをできるだけ揃えるというケースもしばしばあります。
つや消し仕上げについては、シリコン塗料よりも対応できる製品が少ないため、つや消し対応ができる製品かどうかしっかり確認してから施工しましょう。
・ラジカル塗料
ラジカル塗料は「ラジカル制御型塗料」とも呼ばれ、2010年代に登場した比較的新しい塗料です。
他の塗料と違い、「ラジカル」とは成分の名前ではなく、酸性雨や紫外線、水など塗料を劣化させる「劣化因子」のことを指しています。
ラジカル制御型とは、この劣化因子の発生を限りなく抑える=制御することが名前の由来となっています。
ラジカル塗料はシリコン樹脂やアクリル樹脂など従来の塗料がベースになっています。そこに、ラジカルを抑制するため高耐候酸化チタンと光安定剤という2つの成分が配合されています。
ラジカル塗料の最大のメリットは、高機能で従来の塗料と同程度の価格であるという点です。通常のシリコン樹脂系塗料よりも耐用年数が長いですが、塗料のベースが従来の塗料と同じなので、シリコン樹脂系塗料とあまり変わらない価格で、より性能の高い塗料を塗ることができます。
塗料の伸びがよく発散しにくいため作業性にも優れ、施工が簡単なためあらゆる外壁に対応できます。ぬりべえでの実績も多く、今後も期待される外壁用塗料です。
・無機塗料
無機塗料は、セラミック塗料と呼ばれることもあります。正確には、セラミックやケイ素など、無機物を主成分とした塗料のことで、セラミック塗料は無機塗料の一種です。
シリコン塗料やアクリル塗料、フッ素塗料などの樹脂は石油などの有機物(炭素が含まれる)を原料としています。
有機物でできている物質は、紫外線や水分、乾燥などで劣化します。
しかし、無機物は紫外線で劣化しないため、半永久的な耐久性を持ちます。「無機塗料」は無機物に塗料として機能するために必要な有機物を混ぜて作られた塗料です。
完全な無機物100%ではないためメンテナンスフリーではありませんが、無機物の耐久性を取り入れているため20年以上の耐用年数を誇る製品もあります。
デメリットは、費用が高いことです。これまでに紹介した塗料の中でも最も施工費用が高くなります。現在は、シリコン樹脂系と比較すると、㎡あたり約2倍の費用が相場となっています。
・遮熱塗料
遮熱塗料は、一般的な塗料よりも太陽光を反射する性能を高めた塗料のことです。樹脂にセラミックを配合する、特殊な顔料を混ぜ合わせるなどで、日射エネルギーのうち「近赤外波長域」の大部分を反射する性能を持たせています。
遮熱塗料は、主に夏場の太陽熱をシャットアウトし、室内の温度上昇を抑える効果があります。
各メーカーや環境省による屋根を対象にした実証実験では、遮熱塗料を塗布した場合、非塗布の場合を比較して屋根の表面温度が平均8℃~10℃、室温は平均2~3℃下がるというデータが得られています。
室内の温度上昇が抑えられることで、夏場の冷房費も抑えられ、CO2排出量も削減でき節電&エコになります。
特に、日射の影響を受けやすい金属製の屋根、2階、3階建て以上の家やマンション、天井が吹き抜け構造の家で効果が期待できます。
塗膜自体の耐久性能はシリコン樹脂系などベースとなっている樹脂の性能に依存します。遮熱塗料だから塗膜自体の耐久性が特別高いというわけではない点は理解しておきましょう。
まとめ
外壁塗装に使用される塗料の種類は様々なものがあり、それぞれに性能や施工費用に違いがあることがお分かりいただけたと思います。
お住まいの地域の気候や外壁、屋根の材質、ご予算、求める性能、耐用年数、仕上げ方法などによっても施工費用は変わってきます。
自分の家にぴったりな塗装方法を見つけるためにも、幅広い塗装、塗料の知識と実績を持つ外壁塗装業者に相談することをおすすめします。
ぬりべえでは、定番のシリコン系から最新塗料のラジカル塗料、そして高い施工技術が必要な遮熱塗料など、あらゆる外壁、屋根塗装の豊富な実績を持っています。
ショールームでは塗装の見本をご覧いただけるほか、お住まいの地域や屋根外壁の材質、状態に合わせた最適なリフォーム方法についていつでもご相談いただけます。
「再塗装をすべきタイミングがわからない」
「劣化しているかどうか判断がつかない」
このような場合でも、無料でご相談、アドバイスをさせていただきますので、ぜひお気軽にショールームにお越し下さい。
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こちらの牛久市での外壁塗装施工事例も参考にしてください。
シリコン塗料の施工事例:茨城県牛久市 外壁屋根塗装|階を分けて塗分けた外観がアクセントに
ラジカル塗料の施工事例:茨城県牛久市 外壁屋根塗装|2色で塗分けて10年ぶりの塗装をイメージチェンジ
フッ素塗料の施工事例:茨城県牛久市 外壁塗装|ご希望の色で階ごとに塗分けて印象的な外観へ
無機塗料の施工事例:茨城県牛久市 外壁塗装|紫外線で退色した壁2階部分を明るい色に