職人の手仕事による風合いが魅力の「モルタル壁」ですが、冬の乾燥時期は最もひび割れ(クラック)が発生・進行しやすい季節です。
小さなひびが冬の間に大きく育つと、春には深刻な雨漏りを引き起こすことも。
今回はモルタル壁特有の注意点と、見逃してはいけない補修目安を解説します。
この記事はこんな方におすすめ!
・モルタル外壁に細かい網目状のひびが見える方
・冬になってひび割れが増えた気がする方
目次
1 なぜ冬に割れる?モルタル壁を襲う「乾燥収縮」の正体
モルタルは砂とセメントを水で練った素材であるため、非常に頑丈ですが「乾燥すると縮む」という宿命的な性質を持っています。
特に日本の冬は湿度が極端に下がるため、モルタル内部の水分が抜け、壁全体がギュッと収縮します。
この引っ張られる力に耐えきれなくなった箇所が、ひび割れとして表面化します。
一度割れてしまうと、そこから冷気が入り込み、夜間に内部の水分が凍結してさらに割れを広げるという悪循環に陥ります。モルタル壁にとって、冬は一年で最も過酷なダメージが蓄積される季節なのです。
- 低湿度による「乾燥収縮」がモルタルに強い緊張を与え、ひび割れを誘発する。
- 夏場の膨張と冬場の収縮の繰り返しが、長年かけて壁の構造を疲弊させる。
- 窓の四隅や換気口の周りなど、負荷が集中しやすい場所に最初のひびが出やすい。
2 セルフチェック!「ヘアクラック」と「構造クラック」の違い
ひび割れには、急いで直さなくて良いものと、すぐに直すべきものの2種類があります。
幅0.3mm以下、深さも浅いものは「ヘアクラック」と呼ばれ、主に塗装表面の劣化によるものです。これ自体で即座に家が傾くことはありませんが、冬の間にこれが育つと危険です。
一方で、幅0.3mm以上(名刺が差し込める程度)で、下地まで達しているものは「構造クラック」と呼ばれ、雨水の侵入ルートになります。
これを見つけたら、もはや塗装だけでは不十分で、Vカット補修などの本格的な下地処理が必要な緊急サインです。
- 0.3mm未満の細かいひびは、次回の塗り替え時に対応すれば概ね問題ない。
- 0.3mm以上の深いひびは、内部のラス網(金網)を錆びさせ、壁の脱落を招く恐れがある。
- 横方向に走るひびは、縦のひびよりも雨水が入り込みやすいため、幅が狭くても要注意。
3 冬の補修が肝心!ひびを埋める「弾性フィラー」の効果
モルタル壁のひび割れ対策として最も有効なのが、外壁塗装の際に「弾性フィラー」を下塗りに使うことです。
これはゴムのような柔軟性を持った補修材で、冬に壁が乾燥収縮してひびが動いても、その動きに追従して伸び縮みし、隙間を露出させません。
ひびを単に「埋める」だけでなく、表面を「伸縮する膜」で覆ってしまうことで、将来的なひびの再発を強力に抑え込みます。
モルタル壁の家を長持ちさせるには、この「下地の柔軟性」をいかに確保するかが、冬のダメージを無効化する鍵となります。
- 弾性フィラーを厚塗りすることで、微細なヘアクラックを全て塞ぎ、防水性を高める。
- 「伸びる塗料」を採用すれば、将来新しいひびが起きても表面まで突き抜けない。
- モルタル壁の風合いを活かしつつ、最新の化学技術でひび割れ耐性を補強できる。
4 放置のリスク!春の「爆裂現象」を防ぐために
ひびを放置したまま冬を越すと、内部に入った水分が「凍結→膨張」を繰り返し、内部からモルタルを押し出す「爆裂現象」が起きることがあります。
こうなると、春には壁の一部がゴソッと剥がれ落ち、修理費用が数倍に跳ね上がります。
特にモルタル壁は、一度浮いてしまうと広範囲の張り替えが必要になるため、冬の入り口で「小さなひびを塞いでおく」ことが、最も賢い節約術になります。
春を待たず、冬の乾燥がピークを迎える前に専門家による打診調査(壁を叩いて浮きを調べる診断)を受けることを強くおすすめします。
- 内部結露や凍結膨張は、冬の間に人知れずモルタルの「浮き」を進行させる。
- 壁の脱落は、通行人への危害や家財へのダメージという甚大なリスクを伴う。
- 「今すぐ塗り替え」ができなくても、ひびへのシーリング等の「応急処置」だけで救われる家がある。
まとめ
モルタル壁にとって、冬の乾燥と冷え込みは最大の試練です。ひび割れを放置することは、家の寿命を削ることに他なりません。
まずはご自身で壁を一周見て回り、名刺が入るようなひびがないかチェックしてください。
もし不安な箇所を見つけたら、本格的な雪や嵐が来る前に、モルタル壁の扱いに慣れた熟練の職人に相談し、適切な補修プランを立てましょう。