家の外壁材を検討していると、「リシン吹き付け」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。リシン吹き付けとは何なのか、リシンによる仕上げ方法の種類、メリットとデメリットについてご紹介します。将来的なメンテナンスにおいて知っておきたい塗り替えのポイントも参考にしてみてください。
◼ リシン吹き付けとは
リシン吹き付けという言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような意味があるのか、外壁とどのような関係があるのかまでは知らないという人も多いかもしれません。そこでリシン吹き付けの特徴とリシンを使った仕上げ方法の種類についてご紹介します。
・特徴
1980年代頃まで外壁材としてよく仕様されていたモルタルには、仕上げ方にさまざまな方法があります。スタッコや吹き付け工法、ローラー工法、コテ工法など。リシン吹き付けもモルタルの仕上げ方法の一つで、セメントやアクリル、顔料、骨材を配合した材料をリシンガンで吹き付けることをいいます。混ざっている骨材で凹凸ができ、土壁のようにザラザラとした質感に仕上がります。
最近では機能性の高いサイディングなどの外壁が増えてきましたが、リシン吹き付けは、1960~1980年代にはモルタルの一般的な仕上げ方法でした。リシンは、防水効果のないモルタルを雨水や湿気などから守る役割を果たしています。
・種類
モルタルの外壁をリシンで仕上げる場合、「リシン吹き付け」と「リシン掻き落とし」の二種類の工法があります。リシン吹き付けの方が一般的な工法であり、特徴でもご紹介した通りリシンガンで外壁に吹き付けていく方法です。吹き付けるだけなので短い時間で広い範囲に施工を行える一方、塗膜が薄いというデメリットも。落ち着いた上品な雰囲気の外観になるので、ヨーロッパ風の家に憧れているような人におすすめの仕上げ方法です。素材自体が安価であることが多く、施工も難しくないためコストパフォーマンスの良い仕上げ方法となります。
リシン掻き落としとはリシンを外壁に塗り付け、固まってしまう前に剣山やブラシで引っ掻く仕上げ方法のことをいいます。コテを使って塗るため吹き付けよりも厚みが出ますが、その分作業に時間がかかってしまい費用も高い傾向にあります。
吹き付けで仕上げると模様が粗くなり、掻き落としで仕上げると模様が細かくなります。どちらも落ち着いた雰囲気仕上がりますが、より繊細な印象にしたい場合は掻き落としがおすすめです。どちらの場合も職人の技術によって差が出てしまうことがあるため、経験と実績の豊富な業者に依頼するようにしましょう。
◼ リシン吹き付けのメリット
リシン吹き付けの特徴と、リシン掻き落としとの違いが分かりました。外壁の仕上げをリシン吹き付けにすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。コストパフォーマンスが良いリシン吹き付けですが、費用面だけではなくその他のメリットもご紹介します。
・費用を抑えられる
リシン吹き付けは他の塗装と比べて費用を抑えられるのが最大のメリットです。リシン吹き付けはリシンガンに充填して、下地を塗った上から吹き付けていきます。一回一回塗り固めていくような手作業ではないため、作業の難易度が高くなく短時間で施工が完了します。工期が短ければ費用が抑えられることにもつながります。リシン掻き落としの方が見た目の高級感は増しますが、その分職人の技術を要するため費用も高くなる傾向にあります。
・外壁の保存性が高い
リシンは通気性が良いことや湿気を通す透湿性という特性を持つため、外壁を長持ちさせる効果がある仕上げ方法だといえます。木造住宅の場合、雨水が染み込んだり湿気がこもったりしてしまうとリフォームしなければならなくなることもあります。そのため通気性の良さや透湿性は家を長持ちさせることにおいて重要な役割を果たしてくれます。
また外壁材の上に塗装をするだけでは、塗膜の劣化が早く進んでしまいます。しかし塗膜の上からリシンを吹き付けるため、塗膜の劣化が進みにくくなります。このように外壁材の保存性が高いのは、大きなメリットだといえるでしょう。
・高級感がある
外壁材にはモルタル以外にもサイディングやALC、タイルなどさまざまな種類があります。ほとんどの外壁材は塗装による仕上げが行われますが、モルタルの中でもリシン吹き付けによる仕上げは高級感があるのが特徴です。
またモルタルだけではなく、サイディングを使用した場合にもリシン吹き付けで仕上げることができます。サイディングは日本における普及率が高い外壁材ですが、見た目が安っぽく見えてしまう人もいるかもしれません。そんなときにリシン吹付による仕上げを選ぶことで高級感をえんしゅつすることができます。
◼ リシン吹き付けのデメリット
外壁の保存性が高い上に費用を抑えることができ、高級感まで出すことができるなど、リシン吹き付けにはたくさんのメリットがあります。とはいえもちろんデメリットもあるため、どちらも考慮した上で選ぶようにしましょう。
・ひび割れ
リシン吹き付けのデメリットは、ひび割れが起こりやすいという点です。モルタルの外壁は伸縮しやすい性質がありますが、リシンが伸縮についていけないことでひび割れが起こってしまいます。ひび割れが起こると雨水が内部に入りやすくなり、構造部分まで腐食してしまう可能性があります。
ひび割れが起こりやすいというデメリットの対策として弾性リシンというものが生まれました。モルタルの伸縮についていけるように作られているため、ひび割れが起こりにくい仕上げになります。
・汚れやすい
リシン吹き付けで仕上げる外壁はザラザラとした質感が特徴ですが、凹凸部分に汚れが溜まりやすいのがデメリット。新築時は高級感のある美しい外観ですが、汚れが溜まっていくと美しさを維持するのが難しくなってしまいます。湿気がこもりやすい場所では藻やコケ、カビが発生することも。藻やコケ、カビが発生すると、完全に取り除くのは難しいだけではなく、繁殖が続いてしまうこともあります。
リシン吹き付けで仕上げられた外壁は高圧洗浄を行っても問題ないため、汚れが目立ってきたら業者に依頼して高圧洗浄をしてもらうと良いでしょう。高圧洗浄だけでは落とせないほど手強い汚れがある場合は、汚れが付きにくい塗料で塗り替えを行う必要があります。
・防水性が低い
外壁材であるモルタルは防水性が低いため、リシン吹き付けによって防水性を補うことになります。しかしリシン吹き付けは塗膜が薄いため、そこまで防水性が高いといえるものではありません。雨水を吸い込むと家の内部まで水が侵入したり、腐蝕につながってしまうこともあります。定期的な点検を業者に依頼すると、安心して過ごすことができます。
◼ 塗り替えのポイント
外壁材や塗料の種類を問わず、塗り替えやメンテナンスを行わなくて良いということはありません。リシン吹き付けで仕上げられた外壁を塗り替えする際、どのような点がポイントとなるのでしょうか。
塗り替えを行う際、まずは凹凸部分に溜まった汚れを落とすための高圧洗浄を行います。汚れやカビが残ったまま塗装してしまうと、塗料がうまく密着せず剥がれやすくなってしまいます。費用が高くなってしまいますが、カビやコケが発生している場合はバイオ洗浄を行うこともあります。洗浄が終わると下地の補修を行います。
次に下地と塗料を接着させるための下塗り材というものを塗ります。リシン吹き付けされた外壁を塗り替える場合、下地が塗料を吸い込んでしまうことに注意が必要です。塗料を吸い込んでしまうと色ムラになったり剥がれやすくなったりしてしまいます。そのためどのような下塗り材を選ぶかが重要になります。
上塗り材は、ツヤのある外観にしたいのかツヤの少ないマットな外観にしたいのかが選ぶポイントとなります。またリシン吹き付けのデメリットであるひび割れを起こりにくくするためには弾性塗料を選ぶのがおすすめです。
◼ まとめ
外壁材に何を使おうか考えている場合、モルタルの外壁を検討している場合、「リシン吹き付け」という言葉を耳にすることも多いかもしれません。リシン吹き付けとは、モルタルの外壁の仕上げ方法の一つであり、骨材によって凹凸で高級感のある外観に仕上がります。吹き付けの他に掻き落としという方法もあり、リシンを塗ったあとで剣山などを使って引っ掻くやり方です。吹き付けの方が模様が粗く、掻き落としの方が細かく繊細な印象になります。
リシン吹き付けは短い時間で広範囲を施工できるため工期や費用を抑えられるのが最大のメリットです。また通気性の良さや透湿性を持ち合わせているため外壁の保存性が高く、高級感があるのも特徴です。その一方で凹凸に汚れが溜まりやすく、ひび割れが起こりやすいのがデメリット。
塗り替えを行う場合には、高圧洗浄で凹凸部分の汚れを落としてから下地を補修します。下塗り材の選定を慎重に行って、ツヤのある質感とマットな質感のどちらにしたいかによって上塗り材も決めていきましょう。
塗装屋ぬりべえは、千葉県と茨城県という地域に根差して外壁塗装や雨漏り修理を行っている会社です。シリコン塗料やラジカル塗料、遮熱塗料、フッ素塗料、無機塗料といった幅広い塗料を取り揃えており、お客様のニーズに合わせたものをご提案致します。千葉県に1店舗、茨城県に3店舗あるショールームは、お客様が実際に見たり触ったりできるような空間になっています。色を見るだけでは施工後のイメージが付きにくいため、家の写真をお預かりしてカラーシミュレーションを行うことができます。ご相談や外壁屋根診断は無料で承っているため、お気軽にご相談ください。電話やメールでのご相談はもちろん、ご来店もお待ちしております。