ALCの外壁とは軽量気泡コンクリートのことであり、軽量であることから家への負担が少ない外壁材です。ALCを外壁材に使用しようと思っている人、実際にALCを使用している人は、メンテナンスについての知識を身に付けておきたいものです。ALC外壁についての基礎知識からメンテナンスの必要性、メンテナンス方法についてご紹介します。
◼ ALC外壁とは
新築やリフォームで外壁材について調べたりしていると目にする「ALC外壁」。言葉自体は知っていても、どのような外壁材なのかは分からないということもあるかもしれません。そこでALC外壁とは何なのか、どういった種類があるのかをはじめにご紹介します。
・ALC外壁の特徴
ALC外壁とは、「Autoclaved Lightweight aerated Concrete =気泡の入った軽量のコンクリート」の頭文字をつなげた言葉であり、つまり軽量気泡コンクリートのことをいいます。珪石やセメントを主成分としており、コンクリートの四分の一ほどの重さしかないことや内部に気泡があることが特徴です。パネル状に加工したものを外壁材として使用するため、ALCパネルと呼ばれることもあります。サイディングボードと似た印象を持つ人もいるかもしれませんが、サイディングボードよりも倍以上厚みがあるのが違いです。
・施工方法
ALCパネルはセメントと無機質な素材を原料としており、パネル型に流し込んで成型し、高温・高圧の釜で時間をかけて固めることで作られます。一般的なコンクリートは施工現場で固めていくことから、作業を行う人の技術や精度によって質が異なる場合があります。しかしALCパネルはコンクリートでありながら、工場で塗装まで行われるため、品質にムラが出ることがありません。
・メリット
ALC外壁は軽量であることと耐久性が高いことがメリットとしてあげられます。軽量であることから家への負担が少ないだけではなく、耐震性の高さにつながります。ALCパネルの耐久性は高層ビルやショッピングセンターなどでも使われるほどであり、しっかりメンテナンスを行っていれば張り替えなどの大規模なリフォームは50年以上必要ないともいわれています。
有機質が使われている一般的なコンクリートと違って、無機質が使われていることからひび割れる心配もありません。同じ理由で熱の影響を受けにくく、万が一火事が起こったとしても有害物質が発生しない点で安全性が高いといえます。
・デメリット
多孔構造であることから防水性がないのがデメリット。水を吸収しやすい性質があるため、雨漏りを起こさないように外壁の表面に防水処理を施す必要があります。防水性の高い塗料を使用することでデメリットを補うことはできますが、耐久性の高さを維持するためには塗料の寿命を把握した上で劣化の症状を見極めることが重要です。またパネルのつなぎ目からは水が侵入しやすく、つなぎ目を埋めるために施しているコーキングは劣化が進みやすいことも忘れてはなりません。コーキングの劣化が進むとより水が侵入しやすくなるため定期的に補修を行うようにしましょう。
また他の外壁材と比べると比較的高価な外壁材です。その分耐久性が高いため、長く住み続けられる家にしたいという人にはおすすめの外壁材となっています。初期費用はかかってしまいますが、張り替えまでの期間が長いため、長期的な視点で見たときのランニングコストは抑えることができます。
◼ メンテナンスの必要性
多くの外壁材では定期的な塗装・メンテナンスが必要ですが、ALCパネルでももちろんメンテナンスを行うことが推奨されています。ALCパネルにおけるメンテナンスの必要性についてご紹介します。
・防水性を補うため
ALC外壁は防水性がなく水を吸い込みやすい特性を持ちます。ALCパネルの内部に水が入ってしまうと、組み込まれているワイヤーが錆びてしまい強度が低下します。ALCパネルの機能性を維持したまま外壁として使用するためには、塗装が欠かせません。塗り替えを行うことなく放置していると、補強材として使われている金属部分まで水が浸透し、サビが発生してしまうことも。またサビが内部で膨らんでひび割れにつながってしまったり、水分が凍結することでALCが破損したりしてしまうこともあるため注意が必要です。
・シーリングの劣化
パネルのつなぎ目には、ゴム状のシーリングが充填されています。シーリング材には防水効果があるため外壁や家を長持ちさせるために重要な役割を果たしていますが、劣化しやすい部分でもあります。ALC外壁はパネル自体の防水性がない上に、シーリングが劣化すると更に雨水が侵入するリスクが高まります。シーリングは一般的に7~8年が寿命といわれているため、7~8年を目安にメンテナンスを行うようにしましょう。
◼ ALC外壁のメンテナンス方法
軽量であることや耐久性が高いことなどメリットがたくさんあるALCパネルですが、デメリットでもご紹介した通り防水性やシーリングにおいて心配に感じられる人も多いかもしれません。耐久性の高いALCの外壁をより長持ちさせるためにも、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。
・塗り替え
ご紹介している通り、ALCパネルは防水性の低い外壁材なので、定期的な塗装で防水性を付加することが大切です。ALCの外壁は一般的に7~10年が塗装の目安といわれています。塗り替えを行うことなく放置していると、外壁の内部にまで雨水が入ってしまい家自体の腐蝕へとつながってしまう可能性もあります。外壁の状態にもよるため、劣化の症状を見極めて早めに対応するようにしましょう。
また塗装を行う際には防水性の高い塗料を選ぶ必要があります。塗装を塗って乾燥させたあとでも伸び縮みする弾性塗料を指す場合もあります。弾性塗料は塗膜が伸縮するため、ひび割れを防ぎます。フッ素塗料は費用が高い代わりに、次の塗装までの周期が長いためALC外壁に適した塗料だといえます。新築時の塗装はグレードの低い塗料が使われていることが多いため、初めての塗り替えはできるだけ早めのタイミングで行うようにしましょう。
・シーリングの補修
肉痩せや剥離、ひび割れといった症状が現れたら、増し打ちや打ち替えといった補修を行う必要があります。増し打ちは古いシーリングの上から新しいシーリングを充填する方法であり、打ち替えは古いシーリングを取り除いて新しいシーリングを充填する方法です。打ち替えは増し打ちよりも費用がかかりますが、長持ちさせるためには打ち替えを行うようにしましょう。シーリング材には可塑剤が含まれているものと含まれていないものがあります。可塑剤が含まれていると表面がベタついて汚れが付きやすくなってしまうため、可塑剤が含まれていないシーリング材を使用することをおすすめします。
◼ 劣化が進んでいる場合
ALC外壁のメンテナンス方法として、塗り替えとシーリングの補修についてご紹介しました。メンテナンスを定期的に行っていれば、外壁材の寿命を目安に長く使うことができます。しかしメンテナンスを怠っていたり環境が悪かったりすると、予想以上に劣化が進むこともあります。そんなときにはどのような対応をすると良いのでしょうか。
・カバー工法
塗り替えでは間に合わない場合の対応方法として、カバー工法があげられます。カバー工法はもともとの外壁材はそのままに、新しい外壁材を上から重ねて施工する方法です。古い外壁材の解体や撤去費用がかからないことがメリットですが、カバー工法に使用できる外壁材には家への負担がかかりすぎない軽量なものの中からしか選ぶことができません。他にもカバー工法を行うことで断熱性や防音性が上がる場合もあるため、家の中の温度を快適にしたい人や騒音が気になる人はカバー工法を選んでみても良いかもしれません。
・張り替え
さまざまな要因から、外壁材が劣化しすぎて塗り替えやカバー工法ではどうにもならないこともあります。そういったときは外壁材の張り替えを行うことになります。張り替えはもともとの外壁を解体・撤去して新しい外壁材を張り付けることをいいます。外壁を解体するときに下地部分までチェックしてメンテナンスすることができ、張り替え後に安心して住み続けることができます。その一方で工事が大規模になるため、費用や工期がかかってしまうデメリットも。
◼ まとめ
ALC外壁は、新築やリフォームを検討していなければ聞き馴染みがないかもしれません。ALC外壁は軽量気泡コンクリートのことをいい、耐久性や耐震性、耐火性が高いメリットがある一方、防水性がないのがデメリット。そのため、防水性を補うために定期的に塗装を行う必要があります。またパネルのつなぎ目に充填されているシーリング材は劣化しやすいため、水の侵入を防ぐためにも補修を行うようにしましょう。定期的なメンテナンスを怠っていると塗り替えではどうにもならないような状態になることも。そういった場合はカバー工法や張り替えといった選択肢も検討してみてください。
塗装屋ぬりべえでは、千葉県と茨城県において外壁や屋根の塗装を行っています。創業120年のリフォーム会社「ハウジング重兵衛」がプロデュースする塗装専門ブランドであり、経験と実績を生かして施工を行っています。地域最大級のショールームでは、カラーサンプルやカラーシミュレーションを使いながら打ち合わせを進めさせていただきます。駐車場やキッズスペースも完備しているので、ご家族連れでお気軽にお越しください。お客様の信頼関係を築きながら塗装を行っておりますので、千葉県と茨城県で塗装をご検討の方はご相談ください。電話やメールでのお問い合わせもお待ちしております。