外壁塗装を検討するときに弾性塗料という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。弾性塗料の特徴と種類、使える外壁や使えない外壁について、また弾性塗料を使用するメリットやデメリットをご紹介していきます。
◼ 弾性塗料とは
弾性塗料とは、ゴムのように伸縮性のある塗料のことをいいます。2液型のシリコン塗料やフッ素塗料に硬化剤を入れることで弾性機能を持たせることができ、伸縮性のある性質のおかげでひび割れが起こりにくくなります。
・塗料の硬さを表す種類は3つ
塗料は硬さによって3つの種類に分けることができます。弾性を持つ弾性塗料、弾性を持たない一般的な塗料である硬質塗料、弾性塗料と硬質塗料の中間に当たる微弾性塗料の3種類。
弾性塗料
弾性塗料は、JIS規格で伸び率が120%以上と定められている塗料のこと。地震や近くを通ったトラックの揺れなどによるひび割れを防ぐことができます。
硬質塗料
硬質塗料は弾性を持たない一般的な塗料のことを指しますが、あえて硬質塗料という呼び方をすることはほとんどありません。弾性がないため、弾性塗料と比べると外壁のひび割れリスクが上がってしまいます。
微弾性塗料
弾性塗料と硬質塗料の中間に当たるのが微弾性塗料。JIS規格では特に定められていませんが、伸び率が50〜100%である塗料のことを微弾性塗料と呼ぶのが一般的です。
◼ 弾性塗料が使える外壁と使えない外壁
弾性塗料は弾性という性質からひび割れにくい塗料ですが、使える外壁と使えない外壁があります。
・使える外壁
弾性塗料を使える外壁はモルタル。建物は地震による揺れだけではなく、近くの道路を通るトラックなどの大型車によっても振動が起こっています。外壁に硬質塗料を使っていると、揺れによって生まれる力の逃げ場がなく、ひび割れが発生してしまうことがあります。
弾性塗料を使うことで家が振動に追従できるためひび割れを防げるという仕組み。モルタルの外壁では、塗り替えの際にひび割れが起きている箇所に弾性塗料を塗ることもあります。ひび割れが起こった箇所では一般的な塗料だけで補修しても再発してしまう可能性があるため、ひび割れを補修した上で弾性塗料を塗ると再発を防止することができます。
・使えない外壁
弾性塗料が向いていない外壁はサイディング。サイディングの外壁に弾性塗料を使用すると膨れの原因になってしまうためです。サイディングはモルタルに比べて熱を貯めやすいので、その上に弾性塗料を塗ると熱でお餅のように膨らんでしまうという仕組み。そのためサイディングの外壁には弾性塗料でも微弾性塗料でもなく、一般的な硬質塗料を塗るのがおすすめです。またサイディングの目地部分にはシーリングが使われていますが、弾性塗料でも目地の動きには追従できないため塗膜の割れにつながって今います。
◼ 弾性塗料のメリット
弾性塗料の特徴や種類、使える外壁や使えない外壁についてご紹介してきましたが、そもそも弾性塗料にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
・塗膜がひび割れにくい
弾性塗料は、伸縮性を持つ性質から塗膜がひび割れしにくいのが1番のメリット。ひび割れが起こると見た目が悪くなるだけではなく、雨風による影響を受けやすくなってしまいます。最悪の場合雨漏りの原因にもなりかねないため、できるだけひび割れは防ぎたい症状の一つ。
・防水性が高い
弾性塗料は、伸縮性の他にも外壁にピタッと密着する性質も持っています。密着性が高いと、塗膜の内側に雨水が入り込むことを防げるため防水性能が高まります。それだけではなく弾性塗料を塗装する際は他の塗料よりも厚みを持たせて塗ることが多いためさらに防水性の向上を期待することができます。
・モルタルの劣化を防ぐ
弾性塗料が向いている外壁であるモルタルは、もともとひび割れが起こりやすい外壁。ひび割れが起こりやすいモルタルの劣化を防ぐことができるのも弾性塗料のメリットの一つ。
◼ 弾性塗料のデメリット
弾性塗料にはたくさんのメリットがありますが、デメリットもあるのでしっかり把握しておきましょう。
・耐用年数が短い
弾性塗料は耐用年数が短いことがデメリットとしてあげられます。弾性シリコン塗料の耐用年数は8〜10年で、硬質塗料と比べると少し耐用年数が短くなってしまいます。シリコンではなくフッ素塗料と弾性塗料を組み合わせることもできますが、硬質塗料のフッ素塗料ほどの耐用年数にはならないことに注意が必要です。
弾性塗料はもともと厚みを持たせて塗装することが多いですが、分厚くすることで耐用年数を延ばすこともできます。しかしその分塗料の量をたくさん使うため費用が高くなってしまうことを頭に入れておきましょう。
・膨れやすい
弾性塗料は通気性が低いため、膨れやすいこともデメリットの一つ。塗膜の内側から外側に向かって湿気を逃すことができないため、お持ちのように膨らんでしまうことがあります。塗膜は一度膨らむと元に戻らないため、見た目が悪くなってしまいます。最近は従来よりも通気性の高い弾性塗料も販売されているためチェックしてみてください。
・施工の難易度が高い
弾性塗料は他の塗料に比べて施工の難易度が高いといわれています。外壁塗装の前には高圧洗浄を行い、十分に乾かしてから塗装を行うのが一般的。完全に乾く前に塗装を始めてしまうと膨れの原因になってしまいます。このように専門知識や技術が必要なので、他の塗料よりもさらに慎重な業者選びが求められます。
◼ 弾性機能を生かした工法
弾性塗料を施工する際、機能を活かした工法を行いたいですよね。3種類の工法についてご紹介していきます。
・単層弾性塗料仕上げ工法
単層弾性工法では、下塗り剤としてシーラーを使用し、単層弾性工法用の塗料を2回に分けて塗っていきます。この工法は施工が簡単なので、工期が短く費用も抑えられるのがメリット。しかしその分あまり長持ちしないため、塗り替えの回数が増えてしまい長期的なコストパフォーマンスが悪くなることに注意が必要です。
・複層弾性塗料仕上げ工法
複層弾性塗料仕上げ工法とは、シーラーを塗布した後高弾性塗料を2回、仕上げの塗料を2回塗る方法のこと。手間がかかる分長持ちしますが、費用が高くなってしまうため総合的に判断する必要があります。
・微弾性塗料+上塗り仕上げ工法
微弾性塗料+上塗り仕上げ工法とは、微弾性フィラーという下塗り剤を塗ったあと、上塗り用の塗料を2回に分けて塗ることをいいます。弾性機能は微弾性フィラーに任せて、上塗り用の塗料は一般的な塗料を使います。この工法の場合、弾性自体は2〜3年ほどで失われてしまいますが、上塗り剤が残っていれば塗膜は外壁を保護してくれるため単層弾性工法ほど頻繁に塗り替える必要はありません。
◼ まとめ
外壁塗装において弾性塗料という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。弾性塗料の特徴と種類、向いている外壁と向いていない外壁、メリット・デメリットについてたっぷりご紹介してきました。耐用年数が機能、費用などを総合的に判断した上で塗料を選ぶようにしましょう。
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