スレート屋根は普及率の高い屋根材であることから、ご存知の方も多いかもしれません。スレート屋根は天然スレートと化粧スレートに分けられ、それぞれ特徴が異なります。またスレート屋根にはアスベストが含まれているということを耳にしたことがあるかもしれませんが、自分の家の屋根にアスベストが含まれていたらと心配に思いますよね。そこでアスベスト含有の見分け方や対処法についてご紹介します。
◼ スレート屋根とは
スレート屋根は天然スレートと化粧スレートの2種類に分けられます。それぞれ素材や特徴が異なるため、その違いについてご紹介します。
・天然スレート
天然スレートは粘板岩や頁岩といった天然の石を薄い板状に加工した屋根材のことをいいます。天然の石を使っていることから自然の風合いが残り、高級感のある青黒く独特な模様が特徴です。費用がかかるため日本ではあまり普及しておらず、希少価値の高い屋根材だといえます。また天然スレートには塗料を使わないため、塗り替えの必要がありません。
・化粧スレート
天然スレートの他に化粧スレートもあり、屋根材の中で最も普及している素材です。化粧スレートはセメントと繊維質を混ぜて薄い板状に加工したもののことをいい、カラーベストやコロニアルといった商品名で呼ばれることもあります。化粧スレートは色やデザインが豊富で、家のイメージに合ったものを選ぶことができます。平型や波型など形にも種類があるなど、デザイン性の高さが特徴です。
化粧スレートは5~6mmという薄さから軽量であり、家への負担が少なくて済みます。そのため耐震性が高いことが一つ目のメリット。また他の屋根材と比べて価格が安いため、導入する際の費用を抑えることができます。その一方で他の屋根材よりも耐久性が低く、ひび割れや反りといった劣化が起こりやすいのがデメリット。コケやカビも発生しやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
◼ アスベスト含有の見分け方
スレート屋根のうち化粧スレートには、アスベストが含まれている場合があります。現在は健康や環境への影響があることから製造や使用が禁止されていますが、禁止される前にアスベストを含んだ化粧スレートが使用されていることも。自分の家の屋根材にアスベストが含まれているかどうかが分からず心配だという人もいるかもしれません。そこでアスベスト含有の見分け方や対処法についてご紹介します。
・建設時期
アスベストは1970年代後半から危険性が指摘されてきましたが、建物のあらゆる部分で使われていたのが実情です。現在はアスベストが含まれている公共施設などで撤去などの対策が取られていますが、個人の家ではなかなか対策が進んでいません。家の屋根材の中で最も普及している化粧スレートですが、2004年より前に建てられた家の屋根材が化粧スレートの場合、その大半にアスベストが含まれているといわれています。
アスベストを1%以上含む製品の出荷が禁止されたのが2004年なので、それ以降に建設された家ではアスベストを含む資材は使われていないということになります。家の屋根材にアスベストが含まれているかどうかを知りたい場合、まずは家の建設時期を確認してみましょう。
・メーカー名や商品名で検索
家の屋根材として使われているメーカーや商品が分かれば、アスベスト含有の有無を知ることができます。旧クボタ(現パナソニック)や旧セキスイルーフテック(現積水屋根システム株式会社)が化粧スレートの代表的なメーカーですが、同じ商品名でもアスベストが含まれているものと含まれていないものもあります。スレートは外観が似ていることが多く、目視で見分けるのは難しいかもしれません。そのため記録として使われている商品名が残っているかを確認する必要があります。使われている屋根材が分かった場合、メーカーや国交省のサイトで、アスベスト含有資材の品番と照らし合わせることができます。
・すぐに撤去する必要はない
2004年以前に建てられた家で屋根材が化粧スレートである場合、その大半にアスベストが含まれているといえます。アスベストと聞くと発がん性などの健康被害のイメージが強いため、何となく怖いイメージを抱いている人も多いはず。家の屋根材に含まれていると思うとこのまま生活するのが怖い……なんてことも。焦る前に正しい知識を知った上で、適切な行動を取るようにしましょう。
アスベストが使われているものには危険性でランク分けされています。室内や天井に吹き付けられているような場合は、吸い込む可能性が高いため最も飛散しやすいレベル1に分類。しかし化粧スレートに含まれているアスベストはセメントと混ぜ込まれているため、最も飛散しにくいレベル3に分類されています。極端に劣化していない限り飛散することはないため、そのままにしておいても問題ないといわれています。そのため屋根材にアスベストが含まれていると分かったからといって、必ずしもすぐに撤去が必要というわけではありません。
◼ スレート屋根の劣化
スレート屋根のうち、2004年以前に建てられた家で化粧スレートが使われている場合はアスベスト含有の可能性があることが分かりました。劣化が進むとアスベストの危険性が高まるのでは?と心配に思う人もいるかもしれません。そこでスレート屋根の劣化について知識を身に付けておきましょう。
・劣化の症状
屋根は高い位置にあるためなかなかチェックしにくいかもしれませんが、知らない間に劣化が進んでいることもあります。考えられる劣化の症状を知り、定期的に点検やメンテナンスを行うようにしましょう。劣化の初期症状として、色褪せや変色が見られることがあります。塗膜が劣化して防水効果が低くなっている可能性があることや美観にも影響することから、ンテナンスを行うタイミングの目安として考えておくと良いでしょう。
日当たりが悪いところや湿気がこもりやすい部分で起こりやすいのがカビやコケ、藻など。塗膜が劣化して防水効果が低くなると、スレート屋根の主成分であるセメントは水を吸収しやすくなります。これによって湿気を含んだ屋根にカビや藻が発生するという仕組みです。防水効果が低くなると、水分の吸収や太陽光による乾燥が繰り返され、膨張と収縮に耐え切れなくなった屋根がひび割れてしまうことも。ひび割れを放置すると、反りや欠け、雨漏りの原因となってしまうこともあるため注意が必要です。雨漏りが起こった場合は、他の症状よりも劣化が深刻なので、できるだけ早く業者に点検を依頼するようにしましょう。
・寿命
スレート屋根の寿命は20~30年といわれていますが、寿命を縮めないためにも定期的なメンテナンスが必要です。築年数5~7年で色褪せ、7~10年でカビやコケ、10~12年でひび割れや反りなどの症状が出てくることがあります。寿命までは大丈夫だと思うのではなく、それぞれの時期に適したメンテナンスを行うようにしましょう。
◼ スレート屋根のメンテナンス
スレート屋根の劣化が進んだり築年数が経ったりするとメンテナンスを行う必要があります。スレート屋根のメンテナンスには塗り替えとカバー工法、張り替えの3種類があり、劣化の度合いに合わせて方法を選ぶことができます。
・塗り替え
劣化がそこまで進んでいない場合、塗り替えという方法を選ぶことができます。色褪せやカビ、コケのような初期症状であれば、洗浄で汚れを洗い流して塗装を行います。既存の屋根と同じ色を選ぶことはもちろん、イメージを変えるために違う色を選ぶこともできます。塗料によって機能性も変わってくるため、デザインだけではなく機能面も考慮して塗料を選ぶようにしましょう。
・カバー工法
塗り替えでメンテナンスできる場合よりも劣化が進んでいると、カバー工法か張り替えを選ぶことになります。カバー工法はもともとの屋根をそのままに、新しい屋根材を上から設置する工法のことをいいます。古い屋根材の解体・撤去の手間や費用がかからないため、比較的費用を抑えることができます。屋根の重みが二重になってしまうため、カバー工法に使える屋根材は限られてしまうことに注意が必要です。
・張り替え
劣化が進んでいる場合、張り替えしか選択できないことも。古い屋根材の解体・撤去が必要なので手間や費用がかかってしまいますが、屋根材の種類が限られることなく好きなものを選ぶことができます。スレート屋根にアスベストが含まれていて気になるという場合は、張り替えを行うことで安心感を得られるかもしれません。
◼ まとめ
スレート屋根には天然スレートと化粧スレートの2種類があります。天然スレートは天然の石を使用しているため高級感があるのが特徴ですが、家の屋根材としてはそこまで普及していません。化粧スレートはセメントと繊維質を混ぜて薄い板状に加工したものであり、最も普及している屋根材です。化粧スレートの中にはアスベストが含まれているものがあるため、その見分け方についてご紹介しました。
2004年より前に建てられた家に化粧スレートを使用している場合は、大半でアスベストが含まれています。使われている化粧スレートの商品名が分かれば、メーカーや国交省のサイトで品番と照らし合わせることもできるため確認してみることをおすすめします。しかしアスベストが含まれているからといって必ずしもすぐに撤去が必要というわけではありません。正しい知識を身に付けて適切に対応するようにしましょう。
塗装屋ぬりべえは創業120年のリフォーム会社『ハウジング重兵衛』の塗装専門ブランドとして、経験と実績を生かして事業を展開しています。千葉県と茨城県で外壁や屋根の塗装を検討している場合は、ぜひお気軽にご相談ください。