コラム

ALC外壁で考えられる劣化の症状と注意点

最終更新日時 : 2021.12.22

ALC外壁で考えられる劣化の症状と注意点

ALC外壁で考えられる劣化の症状と注意点

外壁材にはたくさんの種類がありますが、新築やリフォームを検討していると「ALC外壁」という言葉を耳にしたことがある人もいるかもしれません。ALC外壁の特徴や種類を知った上で、劣化の症状や注意点をご紹介します。これからALC外壁を選ぼうと思っている人はもちろん、既に外壁に使用していてメンテナンスに悩んでいるという人はぜひ参考にしてみてくださいね。

 

◼ ALCの外壁とは

おしゃれな外壁

新築やリフォームで外壁材について調べたりしていると目にする「ALC外壁」。言葉自体は知っていても、どのような外壁材なのかは分からないということもあるかもしれません。そこでALC外壁とは何なのか、どういった種類があるのかをはじめにご紹介します。

 

・特徴

ALC外壁とは、「Autoclaved Lightweight aerated Concrete =気泡の入った軽量のコンクリート」の頭文字をつなげた言葉であり、つまり軽量気泡コンクリートのことをいいます。パネル状に加工したものを外壁材として使用するため、ALCパネルと呼ばれることもあります。ALCパネルはセメントと無機質な素材を原料としており、パネル型に流し込むことで成型し、高温・高圧の釜で時間をかけて固めることで作られます。サイディングボードと似た印象を持つ人もいるかもしれませんが、サイディングボードよりも倍以上厚みがあるという違いがあります。

 

ALCという呼び方の由来にもあるように、パネルの断面に気泡が入っていることがALC外壁の一番大きな特徴です。一般的なコンクリートは施工現場で固めるため、作業を行う人の技術や精度によって質が異なる場合がありますが、ALCパネルは工場で塗装まで行われることから質にムラが出ることがありません。

 

ALC外壁は高層ビルやショッピングセンターなどでも使われるほど耐久性が高く、軽量であることから耐震性が高いというメリットがあります。また有機質が使われている一般的なコンクリートと違って、無機質が使われていることからひび割れる心配もありません。同じ理由で熱の影響を受けにくく、万が一火事が起こったとしても有害物質が発生しない点で安全性が高いといえます。

 

たくさんのメリットがあるALCパネルですが、多孔構造であることから防水性がないのがデメリット。気泡があることで水を吸収してしまいやすいため、外壁の表面に防水処理を施す必要があります。防水性の高い塗料を使用することでデメリットを補うことはできますが、耐久性の高さを維持するためには塗料の寿命を把握した上で劣化の症状を見極めることが重要です。またパネルのつなぎ目からは水が侵入しやすく、つなぎ目を埋めるために施しているコーキングは劣化が進みやすいことも忘れてはなりません。コーキングの劣化が進むとより水が侵入しやすくなるため定期的に補修を行うようにしましょう。

 

・種類

ALC外壁の特徴とメリット、デメリットをご紹介しましたが、そんなALC外壁にはさまざまな種類があります。厚さや形状、デザインによって種類が分けられているため、それぞれ用途に応じて使用するパネルを選んでみてください。まずは厚さによって、厚さ75mm以上の厚型と35mm以上75mm未満の薄型に分けられます。厚型は鉄骨造や鉄筋コンクリート造で使用されることが多く、薄型は木造や鉄骨造で使用されることが多いのが違いです。

 

また形状によって一般パネルとコーナーパネルに分けられます。一般パネルは外壁の広い平面部分に使用するものであり、コーナーパネルは外壁の角の部分に使用されます。表面に加工をしていないものを平パネル、加工によってデザイン性を高めたものを意匠パネルといいます。

 

◼ ALC外壁の劣化の症状

カーキ色の外壁

ALC外壁は防水性が低いデメリットがあるため、劣化が進むと水を吸収しやすくなってしまいます。そのため劣化の症状を早めに見極めて、塗装などのメンテナンスを行うことが大切です。ALC外壁で考えられる劣化の症状を知っておきましょう。

 

・色褪せや変色

ALC外壁は防水性を補うために塗装されていることが多いですが、塗料の表面の塗膜は劣化が進んでしまいます。紫外線によって塗膜が劣化し、外壁の劣化の初期症状でもある色褪せや変色を引き起こします。すぐにメンテナンスが必要な状態というわけではありませんが、色褪せや変色が起こると古く見えてしまうという点にも注意が必要です。

 

・チョーキング

チョーキング現象とは、外壁を触ったときに白い粉のようなものが手に付く症状のことをいいます。外壁の表面の塗膜が紫外線と雨によって分解されることによってチョーキングは起こります。チョーキングを放置すると外壁が雨水を吸いやすくなり、更なる劣化につながることもあるため、メンテナンスを検討し始めるタイミングかもしれません。

 

・カビやコケ

カビやコケは、太陽があまり当たらない面や湿気がこもりやすい面に起こりやすい症状です。家の周囲に植物が多いような環境では、その限りではなくカビやコケが発生しやすい場合もあります。カビやコケが発生すると外壁が水を吸いやすくなり、更なる劣化へとつながります。塗装を行う際には、その前に高圧洗浄でコケやカビの除去を行う必要があります。

 

・ひび割れ

ひび割れはコンクリート造の表面に起こりやすい劣化の症状です。地震や周辺道路の車の動きによって建物が動き、外壁が建物の動きを吸収できなかった際にひび割れてしまうことがあります。ひび割れは幅が0.3mm以下のものをヘアークラック、0.3mm以上のものを構造クラックといいます。ALC外壁は一般的なコンクリートよりもひび割れが起こりにくい特性を持っていますが、必ずしもひび割れを起こさないというわけではないため定期的に確認するようにしましょう。構造クラックを見つけたときは早めに補修を依頼することをおすすめします。

 

・シーリング

ALC外壁はパネル状に加工されているため、パネル同士につなぎ目が生まれます。つなぎ目をそのままにしておくと雨水が侵入しやすくなるため、つなぎ目を埋めるためにシーリングを充填します。パネル状の外壁ではシーリングが重要な役割を果たしますが、劣化しやすい部分でもあります。シーリングが劣化すると肉痩せや剥離、ひび割れといった症状が起こるため、定期的に点検をして症状が見られたら補修を依頼するようにしましょう。7~8年を目安に打ち替えを行うとALC外壁を長持ちさせることができます。

 

・パネルの欠損や爆裂

ALC外壁は外部からの衝撃や熱による伸縮によって、欠損が起こってしまうこともあります。またひび割れを放置していると塗膜とALCの気泡の中に水が溜まって腐蝕が進み、爆裂することも。劣化の症状が見られても放置していると、このような欠損や爆裂といった症状が起こる可能性もあるため、早めに対応するようにしましょう。

 

◼ ALC外壁の注意点

ツートンカラーの外壁

ALC外壁のメンテナンスについて、注意したいポイントをご紹介します。新築でALC外壁を選ぼうと思っている人はもちろん、実際にメンテナンスを検討している段階の人もぜひ参考にしてみてください。

 

・下地処理

ALC外壁の劣化が進むとさまざまな症状が現れます。コケやカビが発生している場合は高圧洗浄で洗い流すこと、ひび割れが起こっている場合は補修をすること、など症状に応じた下地処理を行うことが大切です。下地処理を怠ると、ひび割れから水が入り込み、内部の鉄筋が錆びてしまうこと考えられます。更なる劣化を防ぐためにも、外壁を長持ちさせるためにも、下地処理は大切な工程だといえます。

 

・防水性の高い塗装が必要

ALC外壁のデメリットでもご紹介した通り、ALC外壁は防水性がなく水を吸い込みやすい特性を持ちます。そのため塗装を行う際には防水性の高い塗料を選ぶ必要があります。フッ素塗料は費用が高い代わりに、次の塗装までの周期が長いためALC外壁に適した塗料だといえます。

 

・シーリングのメンテナンス

パネルのつなぎ目には、ゴム状のシーリングが充填されています。外壁や家を長持ちさせるためにシーリングは重要な役割を果たしていますが、劣化しやすい部分でもあります。ALC外壁はパネル自体の防水性がない上に、シーリングが劣化すると更に雨水が侵入するリスクが高まります。シーリングは一般的に7~8年が寿命といわれているため、7~8年を目安にメンテナンスを行うようにしましょう。

 

肉痩せや剥離、ひび割れといった症状が現れたら、増し打ちや打ち替えといった補修を行う必要があります。増し打ちは古いシーリングの上から新しいシーリングを充填する方法であり、打ち替えは古いシーリングを取り除いて新しいシーリングを充填する方法です。打ち替えは増し打ちよりも費用がかかりますが、長持ちさせるためには打ち替えを行うことをおすすめします。

 

◼ まとめ

外壁塗装の事例

ALC外壁は、新築やリフォームを検討していなければ聞き馴染みがないかもしれません。ALC外壁は軽量気泡コンクリートのことをいい、サイディングボードやモルタルの次に人気のある外壁材です。耐久性や耐震性、耐火性が高いメリットがある一方、防水性がないという性質も持っています。防水性がないというデメリットの対策として、防水性の高い塗装を行う必要があります。

 

ALC外壁が劣化すると、色褪せや変色、チョーキング、カビやコケの発生、ひび割れといった症状が現れることがあります。色褪せや変色はまだすぐにメンテナンスが必要な状態ではありませんが、放置していると劣化が進んでしまうため、メンテナンスを行うことを検討し始めるタイミングかもしれません。

 

塗装屋ぬりべえでは、千葉県と茨城県において外壁や屋根の塗装を行っています。創業120年のリフォーム会社「ハウジング重兵衛」がプロデュースする塗装専門ブランドであり、経験と実績を生かして施工を行っています。お客様の信頼関係を築きながら塗装を行いますので、千葉県と茨城県で塗装をご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

ツートンカラーのおしゃれな外壁

無機塗料による外壁塗装

コケや色褪せのあった外壁を塗装

この記事を書いたスタッフ

塗装屋ぬりべえ 編集部
塗装屋ぬりべえ 編集部
かけがえのない日々の想い出を、より素敵に彩るお手伝いこそ、私たちハウジング重兵衛のしあわせです。
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あらゆる家づくりと住まいのプロフェッショナルとして、地元千葉と茨城との地域密着や社会貢献にもつながっていく企業として、お客様の幸せを礎に、200年企業を目指してまいります。
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・二級建築士
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